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しらせ () は、文部科学省国立極地研究所の南極地域観測隊の輸送・研究任務のために建造された南極観測船。建造費は文部科学省の予算から支出され、艦の運用は海上自衛隊により行われている。艦番号AGB-5003。初代「しらせ」後継艦として2009年に就役した。 == 設計 == 日本の南極観測は、文部科学省・国立極地研究所が中心となって1956年(昭和31年)よりおこなわれている。1982年(昭和57年)からは、三代目の南極観測船となる初代「しらせ」を用いて南極地域観測隊の人員および物資の輸送や観測を行ってきた。 初代「しらせ」の後継艦については当初20,000トンの排水量を構想していたが、予算問題の関係から初代「しらせ」の11,500トンより一回り大きな12,500トンとなった。排水量の増加により物資輸送量が約100トン増加し1,000トンから1,100トンになった。先代と同様に複数名の医師と歯科医が同乗しており、居住性を改善しながら搭乗可能人数を増やすことも可能となった。 砕氷能力を向上させた独特の曲面形状の艦首や、砕氷補助設備として船首散水装置など改良された砕氷設備を備えている〔新南極観測船「しらせ」 根津和彦 日本マリンエンジニアリング学会誌 第45巻第2号(2010年) 〕。南極観測船の搭載ヘリは「タロとジロの悲劇」以来出来るだけ高性能なものを配備しており、しらせでは大型機のCH-101を2機、小型機のAS355を1機の計3機搭載する〔。AS355は中日本航空に運用が委託されている。 推進方式は先代しらせ同様、ディーゼルエンジンによる電気推進が採用されたが、先代が単純なディーゼル・エレクトリック方式だったのに対し、本艦では統合電気推進となった。出力は先代と同じ30,000馬力だがパワーエレクトロニクス技術の進展により電動機はPWMインバータで交流電動機を駆動する方式となった〔。艤装を勤めた初代航海長は「統合電気推進と言える」とコメントしている。推進装置は2軸であり、舵も2枚設置されている〔〔次期南極観測船の概要 国立極地研究所 2007年 〕。 貨物積降時間の短縮を可能としたコンテナ方式の荷役システム、砕氷力の向上と船体塗装剥離による海洋汚染の防止を目的として喫水付近の船体は耐摩耗性に優れるステンレスクラッド鋼〔山内豊:砕氷船の氷中性能向上技術 混相流 Vol.27 (2013) No.1 p.11-17〕や、新型ヒーリング(横揺れ防止)装置といった新機能が導入された。また、燃料タンクも漏出防止のため、二重船殻構造となった〔〔。更に艦内設備は南極の環境保全のために廃棄物処理用システムが充実されており〔、南極観測基地からの廃棄物持ち帰りもおこなわれている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「しらせ (砕氷艦・2代)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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