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BIVR (Beta-lactam antibiotic induced vancomycin-resistant MRSA) とは、β-ラクタム薬によってバンコマイシン (VCM) 耐性が誘導されるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) である。 == 概要 == 検出培地には4μg/mLのVCM含有Mu3寒天培地を用いる。現在はVCMの耐性基準が変更されたため(MICが4と8μg/mLはI, 16μg/mL以上がR)、2μg/mLのVCM含有培地での検出が検討されている。 このような耐性菌検出にMu3培地(BHI-agarに細胞壁構成成分を添加)やBHI-agarを用いることには異論が唱えられている。 Mu3培地の場合、細胞壁構成成分の1成分であるD-Ala-D-Alaが入っている。この物質にVCMが結合して失活しているとの噂が流されていた。しかし、VCMはD-Ala-D-Akaには結合しない。VCMはAcyl-D-Ala-D-Alaに結合することは専門家であれば周知の事実である。また、細胞壁構成成分はresting mediumと呼ばれて1960年代から細胞壁合成の研究に用いられているが、その名の通り、この培地のみでは細菌は増殖できない。単に細胞壁合成を活性化させるのみである。 現在までのBIVRについて判明している事実は、 * 46種類のβ-ラクタム薬がVCM耐性を誘導する。 * このVCM耐性の誘導には至的誘導濃度が存在する。 * マウス感染実験において、VCMとβ-ラクタム薬 (CZX, IPM) の拮抗が確認されている。 * 血液分離MRSAの実に15-20%がBIVRとして検出されている。 * β-ラクタム薬によるVCM耐性の誘導機序として、β-ラクタム薬による自己溶解酵素の誘導、細胞壁の消化による細胞壁断片の遊離、遊離した細胞壁断片の菌体内取り込み、細胞壁合成への再利用、これら (recycling system) が動くことによって本来の細胞壁合成系以外でもVCMが結合するLipid II(murein)が産生される。つまり、VCMが早急に消費されてVCMの効果がなくなり耐性になると考えられている。 北里大学病院と福岡大学病院から臨床例としてBIVRが報告されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「Beta-lactam antibiotic induced vancomycin-resistant MRSA」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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