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ジメチルエーテル (dimethyl ether) は、エーテルの一種で最も単純なもの。DME と略称され、IUPAC組織名ではメトキシメタン (methoxymethane) とも呼ばれる。分子式は C2H6O、示性式は CH3OCH3、又は、(CH3)2O で、分子量は 46.07 である。 スプレー噴射剤などとして使われるほか、灯油に近い燃焼特性と液化石油ガス (LPG) に近い物性を持つため、近年の原油価格高騰の中、中国などを中心として、LPG代替の民生用都市ガス原料(プロパンに20%配合)や自動車用・産業用燃料の実用化が進んでいる。 ==概要== 低温でメタノールを硫酸などで脱水すると得られ(メタノール脱水法)、物性もメタノールに近い。 : 水素結合を形成するものの、分子の幾何学的構造により、結合強度が弱いため、沸点や融点は低いが毒性はそれほど高くはない。 比較的高い温度(−23.6 )、低圧で液化し、常温常圧では気化することから、従来はスプレー缶用溶剤兼噴射剤として利用されてきた〔藤元薫、大野陽太郎、「DMEエネルギーの開発と展望」『化学経済』2013年1月号p77、2013年、東京、化学工業日報社、ISSN 0453-0683〕。 燃焼特性は灯油や軽油に近く〔藤元薫、大野陽太郎、「DMEエネルギーの開発と展望」『化学経済』2013年1月号p77、2013年、東京、化学工業日報社、ISSN 0453-0683〕、LPGを構成するプロパン(沸点 −42.1 )ほど低い温度にせずとも液化し、また常温でもより低圧で液化する(25 でプロパン9.1気圧に対しDME 6.1気圧)ことから、近年はLPG代替燃料としての用途に注目が集まっている。このLPGよりも液化しやすい特性は、タンカーやタンクローリーでの輸送においても低温容器やより低強度の容器での輸入・輸送を可能にする点で、経済性でも有利である。 また、原料のメタノールは石炭、天然ガスからだけでなく、バイオマス、家畜糞便、石油残渣、廃油、廃材などの産業廃棄物などからも得ることができ、石炭を直接燃やす際に発生する硫黄酸化物や粒子状物質も生じないクリーンな燃料という点でも優れる。 一般的な炭素数が多いエーテル類は空気と反応して過酸化物が生じるが、ジメチルエーテルは安定していて生じない点でも優位である。 しかし、新たな燃料として使用するには、社会に輸送、分配するためのインフラストラクチャーがまだ整っておらず、大量かつ安価に製造するためのプラントはまだ中国などに限られており、安定した供給体制を作るには多大な投資が必要である〔藤元薫、大野陽太郎、「DMEエネルギーの開発と展望」『化学経済』2013年1月号p80、2013年、東京、化学工業日報社、ISSN 0453-0683〕。 また、現在、商業化されている生産設備では、まず、天然ガスなどの原料から一酸化炭素と水素のガスを分離し、次にこの原料ガスからメタノールを合成し、さらにメタノールを脱水してDMEを作る「メタノール脱水法」(間接合成法)が用いられている。この「メタノール脱水法」によって原材料の天然ガスからDMEが製造される際の熱効率は、現状では0.680–0.730(平均0.704)程度とかなり低い。これに対してLNG(液化天然ガス)製造時の熱効率は比較的高い0.870–0.930(平均0.900)であることを考えれば、DMEは原材料である天然ガスからの(エネルギー減損)が大きいことがわかる。その結果、DMEのWell-to-TankのCO2排出は、LNGより30%弱も多くなるという問題がある。 しかし、バイオマスや廃油を原料に利用することで、Well-to-TankのCO2排出はマイナスになる上、Tank-to-Wheelで比較すると、LNGの利用よりも大幅に排出削減に寄与できる〔藤元薫、大野陽太郎、「DMEエネルギーの開発と展望」『化学経済』2013年1月号p81、2013年、東京、化学工業日報社、ISSN 0453-0683〕。このため、燃料利用の実用化が進んでいる中国では、天然ガスを原料としたDME製造は原則禁止されることとなった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ジメチルエーテル」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Dimethyl ether 」があります。 スポンサード リンク
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