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Embarcadero Delphi (エンバカデロ デルファイ) は、コンソール (CUI)、デスクトップ (GUI)、Web、モバイルアプリケーション開発のための統合開発環境 (IDE) である。 Delphi のコンパイラは Pascal を独自に拡張した Object Pascal (Delphi 言語) を用いて、プラットフォーム毎にネイティブコードを生成する (Windows, OS X, iOS, Android)。 元々 Delphi は Borland (ボーランド) 社が、Turbo Pascal / Borland Pascal の後継として開発した Windows 用の RAD ツールである。C++ Builder とは多くのコアコンポーネント、特に IDE と Visual Component Library (VCL) を共有していたが、Borland Developer Studio 2006 の登場まではそれぞれ独立した製品だった。 2006年に Borland (ボーランド) 社の開発ツール部門が CodeGear (コードギア) として完全子会社化され、2008年にエンバカデロ・テクノロジーズ社に買収された。 2015年10月に、上記エンバカデロ・テクノロジーズ社がアイデラ社により買収される発表がなされた。〔エンバカデロ+アイデラの件 〕 本項では Delphi Prism として開発されていた 「Embacardero Prism (エンバカデロ プリズム)」 についても述べる。 == 概要 == Delphi は Windows、OS X、iOS、Android 向けアプリケーションを開発するための統合開発環境 (IDE) である。 「コンポーネント」 と呼ばれるソフトウェア部品を 「フォーム」 や 「データモジュール」 に貼り付ける手法により、ユーザーインターフェイスやアプリケーションロジックの設計を視覚的に行え、ソフトウェアの製造を迅速に行える。またコンポーネント自体も Delphi で開発可能であり、その開発環境自身も利用者(開発者)のニーズに従って拡張可能である。 Delphi はワンパスでコンパイルできる文法を採用しており、プログラムのコンパイル速度は、Visual C++ などの他のソフトウェア開発製品に比べ群を抜いて速く、インタプリタに近い使い勝手を与えている。これは、Object Pascal が受け継いでいる Pascal の構文法に由来し、Delphi の前身である Turbo Pascal から続く伝統的性質である。 Delphi で使われるコンポーネントのフレームワークには 「Visual Component Library (VCL)」、「Component Library for Cross-Platform (CLX)」、「FireMonkey (FMX)」 がある。このフレームワークを用いて C++ 言語での Windows 向けソフトウェア開発を実現したものが 「C++ Builder」 である。 * VCL は最初期の Delphi から存在する Windows 専用のフレームワークであり、Windows のコントロール や API を抽象化したものである。 * Object Pascal (Delphi) / C++ (C++ Builder) 言語での Linux ソフトウェア開発を可能にした製品として 「Kylix」 がある。これは CLX フレームワークによるマルチプラットフォームアプリケーション作成を行うもので、Windows では Delphi / C++ Builder を、Linux では Kylix を用いてマルチプラットフォームアプリケーション開発を行うものだった。しかしながら Linux のデスクトップ環境のサポートの難しさから安定した品質を提供できずに Kylix 3 を最後に開発を終了しており、Delphi での CLX サポートも Delphi 7 が最後となっている。 * Delphi XE2 以降、FireMonkey フレームワークによるマルチプラットフォームアプリケーション開発に対応し、最新版では Windows、OS X、iOS、Android 向けのアプリケーションを作成する事が可能となっている。ただし、開発環境としての Delphi は依然として Windows 上でしか動作しない。 近年の IDE では見慣れた、"イベントハンドラに対してオブジェクトイベントを delegation (委譲) する" いわゆる 2Way-Tool の手法は Borland (Inprise) 社の特許である (発明者はアンダース・ヘルスバーグ) 〔http://dn.embarcadero.com/jp/article/27281〕〔http://patft.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO1&Sect2=HITOFF&d=PALL&p=1&u=%2Fnetahtml%2FPTO%2Fsrchnum.htm&r=1&f=G&l=50&s1=6,185,728.PN.&OS=PN/6,185,728&RS=PN/6,185,728〕。 Delphi はバージョン 1 から 5 までは順調にバージョンアップを繰り返し、それなりに人気もあったが、Delphi 6 / 7 ではドキュメントの品質が明らかに低下し、Delphi 8 以降、.NET や C# もサポートした巨大な開発ツール (RAD Studio) に発展したが、製品自体の品質が落ちてしまい、利用者を急速に失った。その後、Delphi は Borland 社のツール部門買収などの混乱の中で低迷が続いていたが、Embarcadero 社のもとで C# と .NET のサポートを廃止しスリム化、Delphi 2009 で再び Win32 用のツールとして再出発を果たした。その後、Unicode サポートなど多くの機能拡張も行われ、OS X、iOS、Android 向けのアプリケーション開発にも対応、品質も安定してきており、往年の実力を取り戻しつつある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「Delphi」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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