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Hi8 : ウィキペディア日本語版
Hi8[はいえいと]
Hi8 (ハイエイト) は、ソニー社が提唱、製品化した家庭用ビデオの規格である。8ミリビデオ上位互換VHSS-VHSの関係と全く同じ)。
== 概要 ==

メタルテープの特性を向上させることによって、8ミリビデオと同じ大きさのカセットで輝度信号ハイバンド化を図り、規格上はS-VHS並みの水平解像度約400TV本を実現させた。製品化されたテープの最大長は180分(SPモード時)。記録帯域幅については8ミリビデオ参照。
もともとHi8は正式な規格ではなく、8ミリビデオ規格の「オプション規格」として見切り発車的に登場した。Hi8の登場以降、区別のために、従来の記録方式は「スタンダード8ミリ」や「Video8」と呼ばれるようになった。
登場した頃から徐々にスタンダード8ミリからHi8へと置き換わっていき、90年代にはほぼHi8規格へと推移している。これはS-VHSへの移行が進まず、スタンダードVHSが長きに渡って生産されたVHSとは対照的である。これはテレビ録画ではS-VHSが真価を十分に発揮できず、またビデオソフトのタイトル数が揃わなかった一方で、カムコーダーとしてはHi8規格は十分に真価を発揮できたからである(VHS陣営でも、カムコーダー分野では8ミリ陣営よりは少数派であったものの、ほとんどがVHS-CからS-VHS-Cへと移行している)。
スタンダード8ミリ(Video8)から画素数を増やしてHi8化した代償として、矮小画素化により感度が低下して暗い室内での撮影が困難になった。CCDのコストダウンによる小面積化と、レンズのコストダウンによる透過率が劣るプラスチック化、ズームのインナーフォーカス化などで、撮影条件によってはHi8がVideo8に劣ることがあった。ビクターなどのライバル社が高感度になった為に、ソニーが後手になってCCDを多少は大きなサイズに戻した製品が発売された。
Hi8にはテープの特性により、塗布型テープを前提としたMPポジションと、蒸着テープを前提としたMEポジションとがあり、デッキ及びカムコーダ本体に切り替えスイッチはなく、検出孔で自動検出されていた。MEポジションのほうが高画質とされるが、初期の使用では硬い為にヘッドタッチが劣ったり、ドロップアウトの問題もあった。富士フイルムTDKから薄膜塗布技術で性能向上させ、MEポジション用とした新型の塗布型テープが発売されていた。
Video8/Hi8のどちらもテープや磁気ヘッドがVHSーCよりも小さいことからヘッドクロッグによる画質低下の問題があり、クリーニングテープでは除去できず、綿棒で磁気ヘッドの磁性粉とバインダーの詰まりを慎重に除去すればシリンダを交換せずに治る場合があるがカムコーダのシリンダーに取り付けてあるヘッドは8ミリ、VHSともども非常に小さく清掃は容易なものではなく簡単に折れてしまう華奢な部品であった。伸びるコンパクトカセットテープの伝統があったソニーは化成品が弱い傾向があるが、ハンディーカムの場合は塗装が溶けたりネジ穴が割れたり、Video8/Hi8の場合は、テープとカセットハーフが経年劣化で粘着して回転しなくなる場合があった。
当初、Hi8方式で記録したテープはスタンダード8ミリ専用の機器では再生が出来ない。例外としてポータブルデッキの「ビデオウォークマン」のGV-300/500、GV-SX50は、スタンダード8ミリでありながらHi8再生機能を備えた。VHSでいうSQPB(S-VHS Quasi Playback = S-VHS簡易再生機能)に相当し、画質はスタンダード8ミリ並みである。ただカタログ上ではその機能は掲載されなかった。またそれ以降の8ミリビデオ機器ではスタンダード8ミリのラインナップがほぼ消滅し、ほとんどHi8へと移行していったため、簡易再生機能を搭載する機器はこの3機種にとどまる。なお、VHS専用機にS-VHSテープを録再に使うとある程度の高画質・保存性を得ることが可能だがスタンダード8ミリ専用機にHi8テープを録画に使っても色ムラが生じるなどやや逆効果となってしまうため、各メーカーのカムコーダのカタログに載っている別売り品のテープのページにそうした注意書きがなされていた。
製品群としてはカムコーダーが圧倒的だが、据置型ビデオデッキも存在した。当初は編集用途を主なターゲットとした単体デッキがソニーや東芝日立製作所から製品化されていたが、S-VHS機などよりも高価な機種も多く。そのためSONYは、VHSやS-VHSとの一体型デッキを発売し、こちらはカムコーダーで撮ったテープの再生用、VHSへのダビング用(実際にワンボタンでダビングできる)として、ある程度の普及をみた。ポータブルデッキ「ビデオウォークマン」の製品は、GV-A700/100のわずか2機種で終わった。
また、Hi8方式の高画質技術として、1998年に輝度信号の周波数帯域を拡張するXR規格(公称水平解像度440TV本)が発表され、対応のカムコーダーが国内・海外で発売された。しかしDVDigital8など後継規格がほどなくして登場したため、CCD-TRV95Kなど僅かな機種に留まる。据置型デッキ・ポータブルデッキの製品は存在しない。
1999年には、Hi8のテープを共用する規格として主に第三世界向けにDigital8が登場する。Digital8ではHi8の倍速でテープを使用することによって、DV規格のデジタル動画を記録する事ができる。Hi8方式で録画されたテープも再生可能。なお、Hi8用としては蒸着テープよりも劣るとされる塗布型テープが推奨されている。
2000年代よりDV規格への移行に伴い、カムコーダー、据置デッキの生産は終了した。それ以降も過去の録画テープの再生用として、Digital8規格のビデオウォークマンの生産のみが続いていたが、これも2011年9月をもって終了した〔ソニー、8mmビデオカセットレコーダ出荷を9月に終了 AV Watch(2011年7月21日)〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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