|
J-POP(ジェイポップ、の略で、和製英語である)は、日本で制作されたポピュラー音楽を指す言葉であり、1989年頃にその語と概念が誕生した後、1993年頃から青年が歌唱する曲のジャンルの一つとなる。一般的な音楽ジャンルとは異なり、先に「J-POP」と言う言葉を定義し、それに既存の楽曲を当てはめる所から入っていったもので、自然発生した音楽ジャンルではない。 == 歴史 == === 1988年 === 1988年、10月に開局したばかりの東京のFMラジオ局、J-WAVEが「J-POP」の発祥となった。J-WAVEは「他文化的」「スタイリッシュ」な町六本木に存在しており、当初は邦楽を全く放送していなかった。しかし1988年の年の暮れ、同社の斎藤日出夫常務(現・代表取締役社長)がレコード会社の邦楽担当者らと共に、J-WAVEで邦楽を流そうと言う企画が発足する。レコード会社側も「洋楽しか流さないJ-WAVEが流した邦楽には希少性があり、それを集めたコンピレーションアルバムを出す」などと言った目論見もあったという。 この際に「日本のポップス」をどう呼称するのかが検討された(斉藤によれば、いつまでも和製○○などと言っていてはいつまでもオリジナルを越えられないと言う)が、ジャパニーズ・ポップス、ジャパン・ポップス、シティー・ポップス、タウン・ポップスなどが検討されたが、「ジャパニーズ・ポップスにせよ、ジャパン・ポップスにせよ、頭文字はJだ。そしてここは、J-WAVEだ」と言う意見が出され、Jの文字を用いることとされた。ジャーナリストの烏賀陽弘道によれば、当時、1987年に日本国有鉄道が分割民営化されJRに、1985年に日本専売公社がやはり民営化され日本たばこ、すなわちJTになった時代であり、日本を表す「J」と言う文字が定着してきた時期であったことも一因とされるのではないかとしている。いずれにせよこれが「J-POP」と言う語の誕生の瞬間であり、この時点ではあくまでJ-WAVE内部のみでの呼称であった。関係者の証言により異なるが、1988年末か1989年初頭頃のことである〔東京新聞「J-WAVE開局20周年…若年層の圧倒的な支持を受けるラジオ局のこれから」(2008年9月30日)〕。 このジャンルはマスメディア側が先導するかたちでカテゴリーのひとつとして誕生し、それにふさわしい音楽を売り手側が分類しているという点において、グラム・パンク・グランジ・オルタナティブ・ロック・ヒップホップなどといった他の音楽ジャンルと異なる、大きな特徴といえる。斉藤によれば当初の部類は多分に感覚的であり、演歌はだめ、サザンオールスターズや松任谷由実はOK、アリスやCHAGE and ASKAは違う、などとされていたが、明確な根拠などはなかった。しかし洋楽の何かに影響を受けたとわかる音楽、洋楽と肩を並べられる音楽が選ばれたと言う。そして1989年秋には、J-WAVEで「J-POP・クラシックス」のオンエアが開始される。 一般に使用されるようになるまでにはしばらくの歳月を要し、定着したのは1993年から1995年頃とされる(例外的にタワーレコード心斎橋店で、1990年にJ-POPコーナーが設置されている)。 なお、1993年という年は日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が始まった年であり、これの存在もJ-POPと言う語の普及にとって無視できない要素である。「Jリーグ」は同年の「新語・流行語大賞」に選ばれている。1995年春には「J-ROCKマガジン」が創刊され、雑誌と連動したテレビ番組「J-ROCK ARTIST COUNT DOWN 50」が人気となり、マスメディアでポップスとロックを区別する形でも使われるようになった。 呼称の定着までに時間がかかった一因としては、「J-POP」という名称がライバル局から生まれたものとして他局が使用に積極的では無かったこともあげられる。一例としてJFN系キー局であるエフエム東京(TOKYO FM)や、その傘下の出版社では90年代中頃までは極力使わず、本来の「ジャパニーズ・ポップス」の略称である「J-POPS」という名称を多用した。音楽番組「デイブレイク J-POPS」や、「アフタヌーン・ブリーズ」のジャパニーズ・ポップス・リフレインなどがそうである。 なお烏賀陽によれば、J-POPは従来あった歌謡曲、フォーク、ロック、ニューミュージックなどのジャンル・サブジャンルを全て殺し、それに成り代わってしまったという。すなわちJ-POPの普及後はそれぞれが、烏賀陽の言葉を借りれば従来のジャンルはJ-POPと言うマンションに入居し、歌謡曲系J-POP、フォーク系J-POP、ロック系J-POP、などといった構造に再構築され収まっているという。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「J-POP」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|