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LE-8はGXロケットの第2段用に宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と石川島播磨重工業(現IHI)が設計開発した、推進剤の酸化剤に液体酸素 (LOX) を燃料に液化天然ガス (LNG) を使用する推力10 t級液体ロケットエンジンである。世界に先駆けて宇宙機用のLNG推進系の実用化を目指していたが、GXロケットの開発中止により実用化には至らなかった。 == 推進系の特徴 == LNGの主成分である液体メタンを燃料として使用した場合、液体酸素/ケロシン推進系と比較して比推力が10秒高く、沸点が91Kの液体酸素と近い110Kであるため、タンクの推進剤間の断熱が不要である。また液体酸素/液体水素推進系と比較して液体水素よりも密度が大きい為、タンクを小型化でき、液体水素よりも沸点が高い為、断熱が容易である。また、燃料を供給するターボポンプの液体酸素ポンプとの断熱が不要で同軸上に配置する事が可能になり小型化が可能である。 液体水素よりも入手が容易で廉価で充填時に気化する量が減り、爆発などの危険性が低く安全性が高いため、扱いが容易である。液体水素よりも蒸発しにくく宇宙空間での長期保存が可能で〔但し、この長期保存の特性を引き出すためにはエンジン本体の再着火能力が不可欠である〕、マーズ・ダイレクトにて提案されたように火星の二酸化炭素が主成分の大気と水素からサバティエ反応によりメタンを生成することも可能である。これらの特徴から、将来の軌道間輸送機や惑星探査機への採用が有望視されている。 LNGを燃料とした場合、液体メタンと同様の特徴を持つが、LE-8の燃料には精製され割高な液体メタンではなく、より価格の安いLNG(アラスカ産)を採用した。 これまで、天然ガスをロケットエンジンの燃料として使用する試みは各国で実施されており、1970年10月23日にユタ州で速度記録樹立用の自動車であるが当時の地上最速世界記録である1014.513 km/h (630.388 mph)の記録を樹立してその後27年間、世界記録を保持する等、一部の国では既に一定の実績があった。〔開発動向 〕〔開発経緯 〕。 ブルーオリジンのBE-4やスペースXのラプターのように現在、液化メタンを推進剤とするロケットエンジンの開発が各国で進められており、21世紀における2液系推進剤の新たな潮流になりつつある。LE-8自体は実用化には至らなかったものの、液体水素推進系におけるES-702に相当する役割を担い、今後の高推力LNG推進系を開発する上で不可欠な多くの知見が得られた。jaxaはGXロケット中止後もこの推進系の開発続けている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「LE-8」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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