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GNU LilyPond(グニュー リリーポンド)は、クロスプラットフォームの楽譜作成ソフトウェアである。 GPL ライセンスのもとにフリーで公開されている。C++ で記述され、Scheme ライブラリ (GNU Guile) でアセンブルされているが、ユーザ独自のカスタマイズや拡張も可能である。単純に音楽をテキストに記述してコンパイルすることにより、(PostScript 経由で)PDF、SVGなどの形式で楽譜を出力できる。同時にMIDIファイルを出力させることも可能である。 FinaleやSibelius (en) などのような楽譜作成ソフトウェアとは異なり、LilyPond自体はGUIを持たない。しかしながら、出版にも耐えうるほどの質の高い楽譜を出力することができる。また、GUIをもつソフトウェアの中にも、RosegardenやNoteEdit、Canorus、DenemoのようにLilyPondの形式で出力できるものがある。 手作業で版が作成されていた時代の浄書のルールを忠実に再現することによって質の高い楽譜を作ることが、LilyPondの目標のひとつである。近年の商用の楽譜作成ソフトウェアの品質の向上は著しいが、ときにLilyPondはそれらよりも質の高い楽譜を作ることができるといわれることもある。 ミュートピアプロジェクトでは、フリーの楽譜を配布することを目的としており、そのためにLilyPondを使用している。これは、コラボレーションによる音楽百科事典「ミュージペディア (Musipedia)」も同様である。Wikiの記事上のLilyPondに関する記事を直接編集するには、MediaWikiインタフェースのひとつであるWikiTeX (en) を使うことができる。 == LilyPond のソースファイルの例 == パーセント記号 (%) が書かれると、その行は以後コメントと見なされる。ここでは可読性の向上のために %% と書かれている。LilyPondにおいては、音名、オクターヴ、音価の順に記述される。オクターブを指定するためには、引用符 (') とコンマ (,) を使用し、それぞれが基準音から1オクターヴ上、1オクターヴ下を意味する。なお、デフォルトでは基準音は中央ハの1オクターヴ下のハ音である。たとえば、 a'4 と記述すればそれは440Hz付近のA音(イタリア音名:ラ)の四分音符を意味する。LilyPondの特殊な文法の一つとして、括弧類の扱いがある。直感的には、 c と記述したくなるような場合、d8c と記述するのが正しい。すなわち、これらの命令は常に音の命令の後に指定し、それぞれの音の属性として処理される。なお、この括弧 は、八分音符を桁で繋げる命令である。LilyPondの入力方式には、絶対入力と相対入力の2つの方法がある。絶対入力の方法においては、音のオクターヴは毎回指定されなければならない。相対入力の方法においては、直前の音から最も近いオクターヴを基準にして自動的に選ばれる。すなわち、オクターヴを指定しなければ直前の音から見て上下増四度以内の該当する音名の音が自動的に選択される。減五度以上跳躍する場合に、直前の音から相対的に何オクターヴ上下するかを記述すればよい。たとえば、 c g と記述した場合、G音はC音から見て完全四度下のものが選択される。完全五度上のものを選択させるにはc g' と記述しなければならない。なお、ここの例では相対入力の方法で書かれている。文字コードはUTF-8のみが使用される。このため、一つのファイル内でデンマーク語、ヘブライ語、朝鮮語などの文章を混在させることも可能である。なお、ソースファイルの最初の一行は、 Emacsに常にUTF-8で読み書きを行うようにする命令である。 Emacs以外のテキストエディタを使用する場合には、各自UTF-8を使用するように注意しなければならない。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「GNU LilyPond」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 LilyPond 」があります。 スポンサード リンク
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