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リック・ディアス (RICK-DIAS) は、「ガンダムシリーズ」の宇宙世紀作品群に登場する架空の有人操縦式ロボット兵器。初出は1985年のテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』。 人型機動兵器「モビルスーツ」(MS)の1機種。主人公の所属勢力である反地球連邦組織「エゥーゴ」がスポンサー企業と共同開発した量産機で、ジオン公国軍のドムに似た太めの体型が特徴。軽量・高強度の新素材を採用することで、見た目に似合わない高機動性を得ているという設定。 『Ζガンダム』第1話から登場し、「クワトロ・バジーナ」の偽名でエゥーゴ入りした元・ジオン公国軍大佐「シャア・アズナブル」と、彼のジオン時代からの部下たちが主に搭乗する。クワトロ機はジオン時代からのパーソナルカラーである赤、一般機は黒・紺系統に塗装されているが、ほかのエゥーゴ兵士たちもクワトロにあやかって赤に塗装した結果、こちらの色が制式カラーとなる。 メカニックデザインは永野護。 当記事では続編の『機動戦士ガンダムΖΖ』や、その他メディアミックス作品に登場するバリエーション機・発展機の解説も行う。 == 機体解説 == エゥーゴ初のオリジナル量産型MSで、アナハイム・エレクトロニクス社と共同で開発された第2世代MS。アナハイム・ガンダムに分類されるMSの第1号であり、のちのΖ計画のきっかけとなった機体である。 旧ジオン系の技術者が中心となり開発されたためにリック・ドムなどのジオン系MSを思わせる外観を持ち、ドムタイプにガンダム系の機能を掛け合わせた機体とされる〔角川スニーカー文庫『機動戦士Ζガンダム 第一部 カミーユ・ビダン』82頁。〕。MSとしては初めて、装甲材質および内部フレームにガンダリウムγ(クワトロ・バジーナ大尉によりアクシズからもたらされた)を採用したため、のちのエゥーゴの指導者ブレックス・フォーラ准将の提案によりγガンダム(ガンマガンダム、γ GUNDAM、''GAMMA GUNDAM'')と名付けられた。しかし、その外観から「ガンダムの名を使うのは、先代のガンダムに申し訳ない」「別のコードネームを使いたい」とするクワトロの希望により、宇宙用の機体を意味する「リック」に喜望峰の発見者バーソロミュー・ディアスの「ディアス」を合わせ、リック・ディアスとした〔。また、エゥーゴの活動が折り返し地点に到達したことから、という意味も込められていると言われる。この命名の経緯はアニメと若干ストーリーの異なる小説版で語られたものであり、アニメの劇中では語られることはなかったものの、『機動戦士ガンダムΖΖ』の第1話「プレリュードΖΖ」などで確認できるうえ、関連資料でも設定として記載されている。ただし、「ディアス」に関しては「エゥーゴの活動が折り返し地点に到達した」云々といった記述は小説版にはなく、ブレックス・フォーラから意味を問われたクワトロ自身は「喜望峰の発見者でそういった名前の人がいた」といった程度の認識で、「ゴロで意味はない」とする趣旨の発言をしている。 機種名の冠詞「リック」(RICK)は「MS-09Rリック・ドム」と同じく宇宙用を意味する〔『機動戦士ガンダムΖΖ』第1話「プレリュードΖΖ」におけるクワトロ・バジーナ大尉の解説ナレーションによる。〕が、宇宙戦専用であった「リック・ドム」と違い、本機の実際の仕様は汎用機であり、地球上の大気圏内・有重力下でも問題なく使用されている。 また、本来の型式番号は「MSA-099」だが、グリプス戦役開戦までは地球連邦軍の目からエゥーゴの動きを欺くため、「RMS-099」とされた〔メディアワークス『データコレクション 機動戦士Ζガンダム 下巻』4、51頁〕。当時の地球連邦軍における型式番号の命名規則は、各開発拠点に割り当てられた10 - 19の数値の後に開発順で1桁の数字がつけられる方式がとられているが、09で始まる基地は存在しない。なお、正式の型式番号に関しては「MSA-009」〔『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】 』94頁。〕〔皆河有伽『総解説 ガンダム事典 Ver.1.5』講談社、2009年、238頁。〕と記したものもある。 装甲はガンダリウムのほか、チョバム・アーマー、スペースド・アーマー(中空装甲)、リアクティブ・アーマー(爆発反応装甲)等、戦車に使われている装甲が全て使用されている〔。 脚部は第二次世界大戦中のソ連製戦車に使われていたような鋳造構造であり、設定画の脚部のディテールアップ稿では、鋳造の湯口の穴の痕や装甲表面のザラザラとした質感も描き込まれている。これは本機のデザインを担当した永野護が戦車マニアであり、そのこだわりによるものである。 メインカメラはモノアイをさらに高機能化したもので、機体前面の状況をすべて把握しつつ、広角/魚眼レンズ的な視覚を補正して直視に近い映像として全天周囲モニターに投影する〔。この方式はシステム小型化が容易なうえに可動部が少ないため、メンテナンス性に優れている。このデバイスはガンダリウムγとともにアクシズから持ち込まれた技術の1つで、ガザ系列からのフィードバックであるとする説もある。胴体内に大型のジェネレーターを搭載したため、通常腹部にあるコクピットブロックは首の位置に上部1/3が露出する形で組み込まれ頭部で蓋をする構造になっており、パイロットは頭部左側にあるハッチから搭乗する。緊急時にはコクピットブロックが射出される機能も備わっている。連邦軍のものより高性能なセンサーを使用しているため、ミノフスキー粒子の下では連邦軍の機体より遠距離から相手を捕捉できる〔放送当時発売されたプラモデルの機体解説より。〕。このように頭部周りは高密度な設計ながら、並の機体よりもむしろコンパクトにまとめられており、頭身が高いのと重厚なボディが相まって数値よりも大型機に見える。 通常バックパックが配置される背部には、プロペラント(推進剤)タンクを兼ねるAMBAC作動肢としてのスラスターとスタビライザー兼用のランダム・バインダーを2基備えている。これはガンダム試作2号機のフレキシブル・バインダーの延長上に位置するものと考えられており、ガンダリウムγによる軽量化とムーバブルフレームの採用に合わせ、これによるAMBAC機能により鈍重な見かけに反して軽快な運動性を示した。このバインダーは取り外せるうえ、シールド(第4話)や投擲武器(第13話)としても使用できる。 固定武装として頭部に「バルカン・ファランクス」を装備する。携行武装としては主に300mmクレイ・バズーカやビーム・ピストル(出力2.8MW)を装備し、これらは非使用時には背部に配置される。クレイバズーカはバインダー基部をラッチとして固定され、ビーム・ピストルは「ライドレーザーラック」〔『ニュータイプ100%コレクション1 機動戦士Ζガンダム メカニカル編 1』96頁。〕〔ムック『MJマテリアル4 Zガンダムメカニック設定集&作例集』(バンダイ)、月刊「ガンダムエース」増刊「Zガンダムエース No.001および、書籍『機動戦士Zガンダム ノスタルジア -Believe in a sign of Z ?-』(ソフトバンククリエイティブ)にてこの名称が確認できる。〕に収められ、ラック下部にはビーム・サーベル(出力0.4MW)も1基備える。また、ビーム・ピストルはライドレーザーラックに搭載した状態でも対後方・対空武装として射撃可能であり、下腕に2本並べてのマウントといった使用方法も存在する〔月刊「コミックボンボン」別冊『Ζガンダムを10倍楽しむ本』の永野護によるピンナップに見られる。また、アニメ『ガンダムビルドファイターズ』第3話にてこの使用方法が再現されている。〕。ビーム・ピストルのエネルギーパックは、百式用ビームライフルと共通である。そのほか、標準武装としてガルバルディβ用ビーム・ライフル〔テレビ版『機動戦士Zガンダム』第15話・第34話、劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation』より。〕も使用される。 マニピュレーターの指基部にはトリモチランチャー(多目的ランチャー)が設けられ、トリモチやバルーンダミーなどを射出できる。漫画『機動戦士Ζガンダム Define』では、他機種と共通したマニピュレーターに手甲を被せ、その手甲にトリモチランチャーを内蔵しているというアレンジが加えられている〔『機動戦士Ζガンダム Define』第1巻177、178頁より。〕。 バリュートを装備することにより大気圏への突入、サブフライトシステムに搭乗することにより重力下での空中戦もそれぞれ可能となっている。 優秀な機体であったものの、そのぶんコストや生産性に難があり、エゥーゴの主力量産MSの座はジム系のよりオーソドックスな設計を踏襲したネモに譲ることとなった(後述するように制作レベルの、主人公サイドの機体としての見た目の問題から出番を控えざるを得ない事情もあった)。なお、ティターンズ側の主力となったマラサイは本来リック・ディアスの代替機として準備されていたものである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「リック・ディアス」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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