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YM2203(FM Operator type - N、OPN)は1984年に日本楽器製造(現・ヤマハ)が開発したFM音源チップである。 ==概要== 4オペレータ、同時発音数3音のFM音源に加え、AY-3-8910(PSG)相当のSSG(Software-controlled Sound Generator)音源と、入出力を備え、プログラマブルタイマーを2系統内蔵する。マスタークロックは0.7~4.2MHz。 1980年代~1990年代にかけて、日本のパーソナルコンピュータで多くの採用例が見られたFM音源である。 エンベロープ・ジェネレータのADSRのパラメータのうち、持続音のパラメータであるSustainは、レベルだけでなく減衰速度も設定できる。これにより、徐々に減衰する持続音を再現しやすくなっている。 オペレータは1チャンネルにつき4つで、接続方法は8種類の中から選択できる。これを「アルゴリズム」(ALG)と呼ぶ。「キャリア」と称される最終的な発振器を他の3つの「モジュレータ」で変調させるのが基本的な接続方式であるが、モジュレータを減らしてキャリアを増やし、変調は少ないが厚みのある音色を作ることもできる〔アルゴリズ4,5,6,7がそれに対応している。『PC-9801シリーズ マシン語サウンドプログラミング』 青山学/日高徹 共著 株式会社アスキー 1994年 ISBN 4-7561-0191-7 p.29〕。各オペレータの発振波形は正弦波のみ。 FM音源のチャンネル3は「効果音モード」並びに「CSM(複合正弦波合成モード/音声合成モード)」に設定可能になっている。〔『マイコンBASIC Magazine DELUXE ゲーム・ミュージック・プログラム大全集III』1989 電波新聞社〕「効果音モード」では、Ch3の全てのオペレータに異なった周波数を与える事が可能で、よりバリエーションに富んだ音作りができ、オペレータ毎の発音・消音制御と組み合わせることで正弦波だけになるものの、出力チャンネルが増えているように聞かせる方法もあり、一部の音源ドライバではMMLでもこれをサポートしている。「音声合成モード」は、効果音モード同様、オペレータにおのおの出力する周波数を与えられるほか、Timer-Aのオーバーフローをトリガに、Ch3のオペレータを全てオンにする機能を有している。〔「YM2203 - FM Operator Type-N(OPN) データシート」〕音声合成モードで利用するデータはサイン波への分解が必要であり、そのデータの計算もチップが現役だった時代には時間と労力がかかったことなどからあまり活用されることはなかったが、ゲームアーツのゲームではメーカーロゴ、ゲーム内の音声出力などに利用されている。 SSG音源部はAY-3-8910とレジスタ互換で同等の機能を持つピンが出ていることもあり、同社他系列のFM音源チップと比較して40PinのDIPパッケージと、大きな形状となっている。同じパッケージ内にありながら、SSG部分はリード/ライト共に可能であるがFM音源部はライトオンリーであり、データの送信時にはウェイトを要する〔マスタークロックに対してアドレス指定後は17クロック、データ送信後は83クロックのウエイトが必要。4MHz動作の場合それぞれ、4.25μ秒、20.75μ秒である。『PC-9801シリーズ マシン語サウンドプログラミング』 青山学/日高徹 共著 株式会社アスキー 1994年 ISBN 4-7561-0191-7 p.36〕為、共通のルーチンで処理する場合はFM音源部にあわせたタイミングで制御する必要があった。 音声はモノラル。FM音源部についてはデジタル出力で、D/Aコンバータとして主にYM3014を組み合わせる。SSG音源部はチャンネル別にアナログ出力されるため、別途ミキシングが必要となる〔。このため、同じチップを搭載した機種であっても、SSG部と、FM音源部の音量バランス、音質は異なり、音源がオプションで用意される機種のサードパーティー製ボードなどでは、純正のボードとの音量バランスが異なるなどの非互換性も発生した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「YM2203」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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