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アイヌは、北海道・樺太・千島列島およびロシア・カムチャツカ半島南部にまたがる地域の先住民族である。母語はアイヌ語。19世紀に列強の国々が領土拡張するにあたり、多くの先住民族が編入されたが、アイヌも同様の運命をたどった。現在、日本とロシアに居住する。 アイヌは、元来は狩猟採集民族である。文字を持たない民族であったが〔1923年に出版された知里幸恵のアイヌ神謡集では、その発音を、ローマ字で表記するなどの工夫がされている。〕、生業の毛皮や海産物などをもって、現在のロシアのハバロフスク地方アムール川下流域や沿海州そしてカムチャツカ半島、これらの地域と交易を行い、永く、このオホーツク海地域一帯に経済圏を有していた〔北海道大学名誉教授(北東アジア考古学) 菊池俊彦 「オホーツク世界と日本」 2012年〕。 1855年日露和親条約での国境線決定により、当時の国際法の下〔(1) 立教大学名誉教授(日本近世史) 荒野泰典 編集 「東アジアの中の日本の歴史〜中世・近世編〜」 の『「四つの口」の国際関係――近世日本国家の中華秩序からの自立を中心に――』より。 (2) 2009年-2013年度放送 「NHK高校講座 日本史」 第20回 「海外交流の実態 〜4つの窓口〜」の『4つの窓口』より。講師 琉球大学准教授 武井弘一。〕、各々の領土が確定した以降は、日本国民またはロシア国民となった。21世紀初頭の現在、日本国内では、北海道地方の他に首都圏等にも広く居住している。 == 呼称 == === アイヌ === アイヌとはアイヌ語で「人間」を意味する言葉で、もともとは「カムイ」(自然界の全てのものに心があるという精神に基づいて自然を指す呼称)に対する概念としての「人間」という意味であったとされている。世界の民族集団でこのような視点から「人間」をとらえ、それが後に民族名称になっていることはめずらしいことではない〔例えば、「イヌイット」はカナダ・エスキモーの自称であるが、これはイヌクティトゥット語で「人」を意味する Inuk の複数形、すなわち「人々」という意味である。また、7世紀以前、日本列島に居住した民族は、中華王朝の史書では「倭人」と記載されているが、これは自らを「我(ワ)」と呼んだためとする説がある。他にも、タイ族やチェロキー、カザフなどにも、民族名に「人」の意が含まれる。〕。これが異民族に対する「自民族の呼称」として意識的に使われだしたのは、大和民族(和人、シサム・シャモ〔当時、アイヌは和人のことを「シサム」「シャモ」と呼称していた。シサムは隣人という意味のアイヌ語で、シャモはその変化形の蔑称または「和人」のアイヌ読みともいわれる。〕)とアイヌとの交易量が増加した17世紀末から18世紀初めにかけてとされている。 アイヌの社会では、「アイヌ」という言葉は本当に行いの良い人にだけ使われた。丈夫な体を持ちながらも働かず、生活に困るような人物は、アイヌと言わずにウェンペ(悪いやつ)と言う。 アイヌ語では、東を「メナシ」、住民や部族を「クル」と呼ぶことから、北海道東部に住したアイヌ部族は「メナシグル」と称し、同様に西部のアイヌは「シュムグル」(シュムは西を意味する)、千島のアイヌは「チュプカタウダシ」と呼ばれるなど出身部族で互いを呼びわけていた。 大和民族は、アイヌのことを「蝦夷」・「土人(土着人の意味)」と呼び、大和民族と混血したアイヌのことを「アイノ」(日本語の「アイノコ」の略語〔仁多見厳・飯田洋右『わが人生の軌跡―ステップス・バイ・ザ・ウェイ』北海道出版企画センター、1993年、89ページ〕)と呼んでいた。 ジョン・バチェラーは自身の遺稿の中で、アイヌが大和民族との混血が急速に進んでいることや、アイヌの子供が和人と同様に教育を受け、法の下に日本人となっていることから「一つの民族として、アイヌ民族は存在しなくなった〔仁多見厳・飯田洋右『わが人生の軌跡―ステップス・バイ・ザ・ウェイ』北海道出版企画センター、1993年、154ページ〕」と記述している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アイヌ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Ainu people 」があります。 スポンサード リンク
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