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ガンシップ(英語:gunship)は、アメリカ空軍がベトナム戦争中に南ベトナム解放民族戦線への対抗策の一環として、歩兵など非装甲目標への襲撃を目的として輸送機の機体を流用して開発した局地制圧用攻撃機。対空砲火で反撃されるおそれのない地上目標と相性がよく、巨大なCOIN機のように運用される。 本来のガンシップとは海軍用語での砲艦を指す。砲艦外交(gunboat diplomacyまたはGunship Diplomacy)という言葉は18世紀ころから使われているが、20世紀以降は船舶の航行が可能な大型河川などに配備される喫水の浅い軍艦を指す。 また、軍事航空用語としては攻撃ヘリコプターを指すことも多い。 == 概要 == ガンシップは、一般的な攻撃機や戦闘爆撃機、COIN機の弱点を解消するために考案された攻撃機である。 前述の機種が特定の目標に対して連続攻撃を行う場合は、緩やかに降下しながら前方射撃用の機関砲や胴体/主翼下のハードポイントに搭載したロケット弾や無誘導爆弾、ナパーム弾を前方の目標に発射あるいは投下して、目標上空を通過後に上昇旋回して反復攻撃をかける形になる。しかし、目標の上空を通過してから反転し、再び兵装の射程に入るまでの間は攻撃ができないので、敵を足止めしきれずに散開させての前進もしくは逃亡を許してしまう可能性が大きい。 これに対して、ガンシップは攻撃目標を中心とした低空左旋回を行いながら〔左旋回で攻撃するのは、ガンシップの母体として多用されるアメリカ製大型輸送機が「左ハンドル」仕様で、操縦を担当する機長席が左側にあり、目標を直接視認しやすいからである。〕、胴体内部から左側面に突き出す形で装備したM134 7.62mmミニガンやM61 20mmバルカン砲などの銃火器の連続射撃によって目標を攻撃するため、機銃弾もしくは機関砲弾の豪雨を目標に対して間断なく浴びせ続けることが可能となる。さらに、元の機体が輸送機なので、弾薬も大量に搭載できる。対空機関砲やミサイル対策として、主要部分に装甲を施すと共にチャフ・フレアディスペンサーやECM装置などの自己防御装置を装備する。 しかし、機動性の低いガンシップの生存性向上には限界がある。「決まった空域の低空を低速で、かつ一定時間以上に渡って同じ左旋回をし、制圧射撃を行い続けつつ居座り続ける」事を身上とするガンシップは、戦闘機や近代的な防空網に対しては本質的に無力であり、絶対的な航空優勢(制空権)を確保しなければ機体の安全が望めない。また、機体そのものが高価なこともあり、大規模にガンシップを運用するのは、そのようなコストを負ってでも歩兵人員の生残率を要求されるアメリカ軍のみである。ただし、近年では、ヨルダンやイタリアなどにおいて、対テロ任務用のために少数機を導入する動きがみられる。 近年では、装備を火砲からマーベリックやヘルファイアなど空対地ミサイルに切り替えたガンシップ(の後継機)が、アフガニスタンなどで実験的に投入されている。これらはガンシップ同様、制空権が確保されている事が前提となっており、攻撃機では不可能な搭載量のミサイルを搭載した対地攻撃機の一種である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ガンシップ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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