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クイル式 ( リダイレクト:クイル式駆動方式 ) : ウィキペディア日本語版
クイル式駆動方式[くいるしきくどうほうしき]
クイル式駆動方式(クイルしきくどうほうしき、英語:Quill drive、ドイツ語:Westinghouse-Federantrieb)は、鉄道車両で電動機などの動力伝達に用いられる無装架駆動方式の一方式である。
本項目ではクイル式の他に、関係する他の無装架駆動方式も取り上げる。
== クイル式駆動方式 ==

1930年代後半にWNドライブを開発したウェスティングハウス・エレクトリック社によって開発され、有名なGG1形を筆頭とするペンシルバニア鉄道の電気機関車に多用されたほか、フランス・ドイツ・イタリア・スイスなどでも電気機関車に採用された。
台車内では、台車枠と輪軸は動揺等により常に相対的に変位している。古くから用いられる吊り掛け駆動方式では、主電動機が車軸に直接吊り掛けられており、走行中の振動でも、主電動機の駆動軸と輪軸が同じ挙動となるため、駆動軸の歯車と車軸の歯車がずれることなく回転力を車軸に伝え、主電動機の駆動軸の位置と輪軸の位置を相対的に変化させない構造となっているが、これには輪軸の振動がそのままの主電動機に伝わることや主電動機の重量が軸ばねを介さずに輪軸に掛かり、軌道にダメージを与えるなどの不都合もあった(詳細は吊り掛け駆動方式#短所を参照)。
これに対して考えられた方式の一つがクイル式である。この方式では、主電動機を弾性支持された台車枠上に固定し、主電動機には、短い中空軸(クイル)を取付けて固定させ、その中に車軸を通し、中空軸の外側には、大歯車をベアリングを介して取付けており、主電動機の小歯車で駆動される。車軸に圧入された車輪からは、何本かの「スパイダ」(支持腕)が大歯車側に伸びており、緩衝ばねを介して大歯車に取付けられる構造としている。動力の伝達順は、モーター→小歯車→大歯車→緩衝ばね→スパイダ→車輪。
大歯車と輪軸との間の相対移動の吸収には、大歯車に、円周方向に挿入された緩衝ばねと呼ばれるコイルばねに、5 - 8本程度のスパイダを連結する形で取り付けることにより、台車枠と車軸の位置関係の変化によらず駆動力を伝達可能とした。当初は固定台枠の電気機関車に使用されていたこの方式であるが、1920年代には同様の構造でボギー式台車の電気機関車に採用されるようになったり、スパイダを大歯車内に収まるようにしてコイルばねで連結する方式が小形の電気機関車や初期の軽量高速電車に採用されるなど、特に欧州の各メーカーにて多様な方式に発展していった。1940年代になると大形の電気機関車においても軽量の2軸ボギー台車内に組み込まれるようになり、その後コイルばねを積層ゴムに置き換えた方式に発展している。
その機構のもたらす効果は、電車で多く用いられる中空軸平行カルダン駆動方式に類似するが、歯車箱が吊り掛け式に装荷されるカルダン駆動方式と異なり、駆動装置の重量の90%以上をバネ上重量とすることができる利点がある一方、動輪スポーク部分にスパイダが露出していたり、大歯車内にスパイダがあってここが変位する関係でギアボックスを密閉できないという弱点があり、日本国有鉄道では大歯車のスパイダ穴にたまった砂や埃による磨耗から噛合いが悪化することで異常振動が多発するなどの問題が続出したため、EF60形の2次形以降は、旧来の吊り掛け駆動方式に変更された。また、その後クイル式であった機関車の大部分は下記のリンク式に改造されている。
もっとも、アメリカでは前述のGG1形が1980年代に廃車されるまでクイル式のままで使用されており、その他の採用例でもこのシステムが原因で短命に終わった例は少なかったことから、日本のED60形ED61形などについて、駆動装置の設計が適切になされておらず問題が悪化したことを指摘する意見がある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「クイル式駆動方式」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Quill drive 」があります。




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