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ゲルズ〔『エッダ 古代北欧歌謡集』などにみられる表記。〕(ゲルド〔『北欧の神話』などにみられる表記。〕、ゲルダ〔『北欧の神話伝説(I)』(松村武雄編、名著普及会〈世界神話伝説大系 29〉、1980年改訂版)244-252頁などにみられる表記。〕とも。)は、北欧神話に登場する豊穣神フレイの妻となった巨人の女性である。 その名前は「垣で囲まれた播種された耕地」を意味すると考えられている〔『エッダ 古代北欧歌謡集』67頁。〕。 彼女はあらゆる女の中で最も美しいとされ、彼女の腕の輝きにより空と海が明るくなったと描写されている〔『エッダ 古代北欧歌謡集』63頁。〕。 『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第37章によると、ゲルズの父はギュミル(「海」の意〔)、母はアウルボザという。母は山の巨人といわれている〔『エッダ 古代北欧歌謡集』253-254頁。〕。 伝承によっては、フレイが殺したとされる巨人ベリが彼女の兄とされる場合がある。 (ベリ#ゲルズの兄を参照) 『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』では、エーギルに招かれたアース神族の女神の一覧にゲルズが含まれている〔「スノリ『エッダ』「詩語法」訳注」(谷口幸男、『広島大学文学部紀要』第43巻No.特輯号3)1頁。〕。しかし『古エッダ』の『ロキの口論』序文で同様に挙げられた、エーギルの館を訪ねる神々と妖精の中にはゲルズはいない〔『エッダ 古代北欧歌謡集』80頁。〕。また、第一部『ギュルヴィたぶらかし』第35章で列挙される女神の中にも彼女の名前はない〔『エッダ 古代北欧歌謡集』251-253頁。〕。 『ユングリング家のサガ』によると、フレイとゲルズの間の息子はフィヨルニルという〔『北欧の神話』111頁。〕〔『ヘイムスクリングラ - 北欧王朝史 -(一)』(スノッリ・ストゥルルソン、谷口幸男訳、プレスポート・北欧文化通信社)53頁。〕。 フレイが彼女に求婚した経緯は『古エッダ』の『スキールニルの歌』〔『エッダ 古代北欧歌謡集』63-67頁。〕、および『ギュルヴィたぶらかし』第37章〔で語られている。高座フリズスキャールヴから戯れにヨトゥンヘイムを眺め、ゲルズを見つけたフレイは、彼女の美しさに一目惚れをし、召使いのスキールニルを求婚のために差し向ける。彼女は、スキールニルから11個の黄金の林檎やドラウプニルを贈られてもフレイの愛を拒んだが、スキールニルは最終的には呪いのルーン文字を刻むと脅したため、ようやく「バリの森」でフレイと会うことに同意した。 この物語は「天と地の聖婚」を表していると考えられている。つまり、冬の凍った大地の中に閉じ込められていた生命が、春に暖かな光を浴びて甦ることの象徴であるという解釈である。また2人が会う「バリの森」の「バリ」(en)は、「バル」(大麦)が語源であろうと考えられている。〔『北欧の神話』116頁。〕 == 脚注 == == 参考文献 == * V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4-10-313701-6。 * 山室静『北欧の神話 神々と巨人のたたかい』筑摩書房〈世界の神話 8〉、1982年、ISBN 978-4-480-32908-0。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ゲルズ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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