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ゲンセンカン主人(ゲンセンカンしゅじん)は、つげ義春が1968年、『ガロ』に発表した短編漫画作品。『ねじ式』とほぼ同時期に発表された、つげの代表作の一つ〔『つげ義春漫画術』(上・下)(つげ義春、権藤晋著 1993年 ワイズ出版)ISBN 4-948-73519-1〕。 ==概要== 夢の世界を描いた『ねじ式』に対して、本作は前世や因果、輪廻など仏教的なモチーフを前面に押し出した、一種の恐怖漫画であり幻想漫画でもあり全体にほの暗い色調に貫かれている。また、極めて日本的な物語を描きながら、つげがかつて愛読したエドガー・アラン・ポオの影響をもうかがわせる不思議な味わいを持っている。本作の主人公は、つげ義春の自画像に近いリアルな劇画風キャラクターとして描かれるが、主人公のキャラクターはコマによって左右非対称になったり、表情が変わったりと目まぐるしい変化を見せる。しかし、その変化はかえってこの作品のテーマである自己否定の不安感を際立たせる結果となった。この人物像は以後、『やなぎ屋主人』や『退屈な部屋』など作者をモデルにしたと思われるキャラクターへと受け継がれていくこととなる。 1967年は水木プロの仕事を手伝っていたころで、仕事量が増え腱鞘炎を患う。同年秋に単独で東北を大旅行、旅と湯治場に強く惹かれる。1968年(昭和43年)2月には群馬県の湯宿温泉を訪れ、本作品のもとになる体験をし、同年7月に発表。1969年、つげは『アサヒグラフ』の取材で大崎紀夫、北井一夫と再び湯宿温泉、法師温泉などを訪問するほど湯宿温泉を気にいっていた〔〔『アサヒグラフ』(朝日新聞社 1969年2月14日号)〕。 その後の時代の変化に対応する形で、作品の表現は初出時と微妙に変化した。特にヒロインの女将さんの障害を指摘する台詞部分(おし、つんぼ)は差別にあたると判断、小学館などその後、出版された作品集では全面的に書き改められたが(「耳と口が不自由らしいですね」への置き換え)、それによって初版のもつ効果は著しく損なわれた。 『ねじ式』同様、この作品も後年多くの表現者によって引用、パロディ化が試みられた。また、コマいっぱいに台詞を描く手法は、江口寿史や鴨川つばめなどのギャグ漫画家にしばしば引用されている。本作の場合、絵の特異さも勿論だが、台詞の異常さが際立っている。その原因の一つとして、女主人公であるゲンセンカンのおかみさんが、聾唖者であるという特殊な設定により、その発する言葉が『ギョホギョホ』『グフグフ』などおよそ会話として成立しない事情が上げられる。そうしたこの作品の持つ特殊性が後の作家たちに絶大な影響を与えた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ゲンセンカン主人」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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