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サビニの女たちの略奪(サビニのおんなたちのりゃくだつ、The Rape of the Sabine Women)とは、古代ローマの伝説的挿話の1つである。なお、この場合の "rape" はラテン語の "Raptio" にあたり、「強姦」よりも「誘拐」などに近い意味合いである。日本語では他に、サビニ女性の略奪、サビニの娘たちの掠奪、サビニ族の女達の誘拐、などともいう。 ローマがロームルスによって建国されたばかりのころ、最初の世代は女性が少なかった。子孫を残し国を維持するためには多数の未婚女性が必要だった。ローマ人はそれを近隣国に多く住み勇敢な部族であったサビニ人に求めたが、交渉は不首尾に終わった。そこでローマ人はサビニ人に奸計を仕掛け、大量の未婚女性を略奪した。不法にローマに拉致されたサビニ人女性たちはローマ人の妻になることを強要され、ローマ人の子を産むこととなった。こうしてサビニ人女性を誘拐婚することにより、ローマは国を維持発展させるための次世代を得ることに成功した。後にサビニは女性たちを奪回するためにローマと戦争を起こすが、既に子を産んでいたサビニ人女性たちは子供と引き離されることを拒み、戦争の中止を訴えた。 ティトゥス・リウィウスの『ローマ建国史』やプルタルコスの『対比列伝』(II、15 および 19)で語られており、ルネサンス期以降の芸術作品の主題として好んで使われた。これは、この挿話が古代ローマ人の大胆さと勇気を示す例であるとともに、女性の受難場面や、半裸の群像が強烈な激情を発して苦闘する様を描くという芸術的挑戦として捉えられたためである。似たような古典古代の主題としては、ラピテースとケンタウロスの戦い、テーセウスのアマゾーンとの戦いなどがある。 == 経緯 == 伝説では、ローマはロームルスと彼が率いる(主に)男たちによって建国されたが、女性が僅かなので、子孫を得ることが望めず国が一代限りで絶える危機があった。彼らローマ人は妻を娶るため近隣国のサビニ人と交渉したが、交渉は失敗に終わった。サビニ人は、近くに新たな社会が根付いてライバルになることを恐れたため、ローマ人の申し出を断った。結果としてローマ人は、サビニ人を罠に嵌め未婚女性を拉致するという、誘拐婚を企てることとなった。ロームルスはネプトゥーヌス (Neptune Equester) の祭りを開催することを計画し、近隣の部族に祭りへの参加を呼びかけた。リウィウスによれば、カエニナ、クルストゥメリウム、アンテムナエといった町を含む多くのサビニ人が若い女性を連れて参加したという。催物の時刻が来て、サビニ人たちの目と心がそれへ釘づけになった時、示し合わせたとおりの襲撃が行われた。ロームルスが合図すると、ローマ人の若者がサビニ人の未婚女性を捕らえるべく走り散り襲いかかった。女性の多くは、たまたま出会った男に捕らえられ拉致された。容姿すぐれた若干名は有力者のもとに連行された。ローマ人の計略は成功したが、悪辣な方法で大量の女性を強奪されたサビニ人は「神の掟、人の信義に背く裏切りに遭った」と訴えた。 掠われたサビニ人未婚女性の身の上に良い見通しはなかった。ロームルスは自ら足を運び女性たち1人1人と話し説得した。 ロームルスは、捕獲されたサビニ人女性に対し、彼女らがこのような境遇になったのは全て近隣の民族が異民族婚を拒否したのが原因であって、彼女たちの両親のプライドのせいだと主張し、不法行為の責任は彼女らの両親であるとした。そして「結婚すればその後の生活は安泰で、市民権も財産権も得られるし、何よりも大事なことは人間にとって無上の宝である子を持ち、自由な人の母になれるということだ」とした。そして、偶然が体を与えた相手に心を与えてほしい。不法の後、しばらくして和解が生まれることはしばしばある。彼女らの故郷への思慕が埋め合わされるよう努力すると述べ、ローマ人の妻になりローマ人の子を産むよう求めた〔Livy: The Rape of the Sabines .〕。そしてロームルスはサビニ族からのローマに強奪された女性たちの解放要求は拒否した。帰国の望みを断たれたサビニ人女性はローマ人の理不尽な要求を受け入れた。サビニ人女性たちは強制的に婚姻関係を結ばされ、ローマ人の子を産んだ。ローマは一代限りで国が絶える危機を回避した。ローマ発展の犠牲となったサビニ人女性については様々な取り決めが課された。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「サビニの女たちの略奪」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 The Rape of the Sabine Women 」があります。 スポンサード リンク
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