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samarium
サマリウム()は原子番号62の元素。元素記号は Sm。希土類元素の一つ(ランタノイドにも属す)。単体は灰白色の軟らかい金属であり、空気中では徐々に酸化されて表面に酸化被膜を形成する。標準状態における安定構造は三方晶系。希土類元素の中では珍しく+2価の酸化状態を取る。最も安定な酸化物はSmOであり、常温で常磁性を示す。ハロゲンやホウ素、酸素族元素、窒素族元素などと化合物を形成し、多くの金属元素と合金を形成する。天然に存在するサマリウムは4つの安定同位体および3つの放射性同位体からなり、128 Bq/gの放射能を有する。 1879年にポール・ボアボードランによってサマルスキー石から発見され、鉱物名にちなんでサマリウムと名付けられた。サマルスキー石の鉱物名は鉱物の発見者であるワシーリー・サマルスキー=ビホヴェッツに由来しており、サマリウムは人名が元素名の由来となった初めての元素である。他の軽ランタノイドと共にモナズ石(モナザイト)に含まれ、地殻中における存在度は40番目。主にサマリウムコバルト磁石や触媒、化学試薬として利用され、放射性同位体は放射性医薬品などにも利用される。サマリウムは人体内における生物学的な役割を持たないが、溶解性のサマリウム塩類はわずかに毒性を示す。 == 性質 == === 物理的性質 === 灰白色の軟らかい金属であり、比重は7.52、融点は1072 、沸点は1794 。サマリウムの沸点は希土類元素の中でもイッテルビウム、ユウロピウムに次いで低いため、希土類鉱石からのサマリウムの単離を容易なものとしている。常温、常圧の安定構造は三方晶系(六回対称をもった三方配列の層が、ACACBCBABのスタッキングで9層ずつ繰り返す構造)であり、これはα型と呼ばれる。731 以上に加熱すると六方最密充填 (hcp) となるが、この転移温度は金属の純度に依存する。さらに922 まで加熱すると体心立方構造 (bcc) に転移する。40 kbarに加圧した状態で300 まで加熱すると二重六方最密充填 (dhcp) となる。また、数百から数千 kbarに加圧していくことで一連の相変化を示し、特におよそ900 kbarにおいて正方晶系の相が現れる。700 から400 まで急激に冷却する焼戻しを行うことによって、圧力を加えることなく二重六方最密充填の相を生じさせることができる。また、蒸着によって得られるサマリウムの薄膜は周囲の状態によって六方最密充填もしくは二重六方最密充填の相を含んでいる可能性がある〔。 サマリウムおよびそのセスキ酸化物(三二酸化物、SmO)は常温で常磁性を示す。それらに対応する有効磁気モーメントはランタン、ルテチウム(およびそれらの酸化物)に次いで希土類中3番目に低く、ボーア磁子は2 µB以下である。14.8 K以下に冷却されると反強磁性に転移する。個々のサマリウム原子はフラーレンを用いることで単離することができる。サマリウム原子はまたフラーレンにドープすることもでき、そのようなサマリウムをドープされたフラーレンは8 K以下の温度で超伝導性を示す。高温超電導物質である鉄系超伝導物質 (SrFeAsF) にサマリウムをドープさせることで超伝導転移温度を56 Kまで高めることができ、これは報告のなされた2008年11月時点では鉄系超電導物質の中で最も転移温度の高い物質であった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「サマリウム」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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