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ジェットエンジン()とは、外部から取り込んだ空気を利用すること、および噴流(ジェット)を直接的に生成することをともに満たし、ジェットに起因する反作用を推進に直接利用する熱機関である。ジェットの生成エネルギーには、取り込んだ空気に含まれる酸素と燃料との化学反応(燃焼)の熱エネルギーが利用される。狭義には、空気吸い込み型の噴流エンジンだけを指す。また、主に航空機(固定翼機、回転翼機)やミサイルの推進機関または動力源として使用される。 ジェット推進は、噴流の反作用により推進力を得る。より具体的には、噴流が生み出す運動量変化による反作用(反動)がダクトノズルやプラグノズルに伝わり、推進力が生成される。なお、ジェット推進と同様の噴流が最終的に生成されるものであっても、直接的に噴流を生成していないもの、例えばプロペラやファン推力などは、通常はジェット推進には含めない。プロペラやファンは、直接的には回転翼による揚力を推力としている。 ジェット推進を利用している熱機関であっても、ジェット推進を利用しているエンジン全てがジェットエンジンと定義されているわけではない。外部から取り込んだ空気を利用しないもの(典型的には、ロケットエンジン)も、通常はジェットエンジンには含めない。ジェットエンジンとロケットエンジンは、用途とメカニズムが異なる。具体的には、ジェットエンジンは、推進のためのジェット噴流を生成するために外部から空気を取り入れる必要があるのに対し、ロケットエンジンは酸化剤を搭載して噴出ガスの反動で進むため、宇宙空間でも使用可能である点が強調される。その代わりにロケットエンジンの燃焼器より前に噴流は全くない。そのため吸気側の噴流も推進力に利用するジェットエンジンと比較して構造も大気中の効率も大幅に異なり、区別して扱われる。 現代の実用ジェットエンジンのほとんどは噴流の持続的な生成にガスタービン原動機を使っている。なお、タービン(圧縮機/回転機)とはラテン語の回転するものという語源から来た連続回転機のことである。このため、タービンを利用することがジェットエンジンであるために必要であるとも説明されることがあるが、実際にはタービンを使わないジェットエンジンも多数あり、タービンの有無はジェットエンジンであるか否かの本質とは関係ない。ただし、ジェットエンジンにガスタービン原動機を使うことが圧縮による効率化に有利であるため、回転翼推力とジェット推力の複合出力エンジンとして様々な最適化が必要(可能)になり、複数の形式が生まれた。 さらに、ジェットエンジンは熱機関の分類(すなわち内燃機関か外燃機関か)からも独立した概念である。つまり、ジェットエンジンは基本的には内燃機関であるが、実用化されていないものの、原子力ジェットエンジンのような純粋な外燃機関のジェットエンジンも存在しうる。 == 概要 == 広く実用されているジェットエンジン(ターボジェット、ターボファン、ターボプロップ、ターボシャフト)は原動機にガスタービンエンジンを使用しているので、内燃機関としての仕組や熱機関としてのサイクルもそれに準じている。すなわち作業流体・酸化剤として外部から取り込んだ空気を圧縮機で加圧し、燃料(主にケロシン)と混合してブレイトンサイクルの下に連続的に燃焼させ、その燃焼ガスによるジェットの反動そのものを推力として利用したり、羽根車(タービン)を用いて回転力を生成しプロペラやファンの揚力に変換し推進力にする。そして回転力の一部は圧縮機を回転させる動力となり、自身の持続運転に使われる。 ガスタービンエンジンは(レシプロエンジンの間欠燃焼と異なり)連続燃焼による連続回転機であるため、連続的なジェットガス生成用の原動機としても最適であった。もしジェットエンジンを間欠燃焼で作るとレシプロエンジンを原動機に使うまでもなくパルスジェットを実現できる。 上記ガスタービン型の航空用エンジンに加え、エアブリージングエンジン(作業流体および酸化剤として空気を吸入・排出する内燃機関の総称でレシプロエンジンも含む)の内、なんらかの方法で空気を圧縮して燃料と混合し、燃焼後に高速の排気流を得て推力とする機関(ラムジェット、パルスジェット、モータージェットなど)もジェットエンジンとして言及される。このうち圧縮機やタービンを用いず燃焼ガスをそのまま出力として利用するラムジェットとパルスジェットはガスタービンエンジンに対してダクトエンジンに分類されることもある。タービンの入り口温度が限界に達しているために、今より高効率、超高速ジェットエンジンを目指す手段として再び注目されている。 なお空気燃焼以外でジェット流を生み、その反動を利用する推進装置にはロケット(非エアブリージングエンジン)や水中翼船用のウォータージェットなどもあるが、それらはジェットエンジンとして言及されない場合が多い〔ジェットエンジンが実用化される前の未熟な時代には、様々な呼称や代替構成要素の実験機が用いられ、例えば、モータージェット機カプロニ・カンピーニ N.1はカンピーニロケットとも呼ばれ、戦前の日本の研究機関では現在で言うところのジェット推進のことをロケット推進と言われた。〕。発電用もしくは船舶や戦車の動力として航空用ガスタービンエンジンが転用される事例も多いが、それらは回転力を利用するだけなのでジェットエンジンとは呼ばれない(単にガスタービンもしくはターボシャフトと記載される)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ジェットエンジン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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