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スイゼンジノリ(水前寺海苔)は九州の一部だけに自生する食用の淡水産藍藻類。茶褐色で不定形。単細胞の個体が寒天質の基質の中で群体を形成する。群体は成長すると川底から離れて水中を漂う。朝倉市甘木地区の黄金川に生息する。熊本市の水前寺成趣園の池で発見され、明治5年(1872年)にオランダのスリンガー(Willem Frederik Reinier Suringar)によって世界に紹介された。「聖なる」を意味する学名の"sacrum"は彼がこの藍藻の生息環境の素晴らしさに驚嘆して命名したもの。 == 概要 == 宝暦13年(1763年)遠藤幸左衛門が筑前の領地の川(現朝倉市屋永)に生育している藻に気づき「川苔」と名付け、この頃から食用とされるようになった。1781年 - 1789年頃には、遠藤喜三衛門が乾燥して板状にする加工法を開発した。寛政5年(1792年)に商品化され、弾力があり珍味として喜ばれ「水前寺苔」、「寿泉苔」、「紫金苔」、「川茸」などの名前で、地方特産の珍味として将軍家への献上品とされていた。現在も比較的高級な日本料理の材料として使用される。 養殖が試みられているがその生育にはミネラルを含んだ貧栄養の綺麗な18-20度の水やゆるやかな流速等の条件が複合的に絡み、ゴミや木の葉等が混入すると売り物にならないなど、人工養殖は至難の業と言われていたが、熊本の嘉島にて長年の研究の末、丹生慶次郎が人工養殖に成功。 最近では翠色が強い水前寺のりの亜種が発生し、継体養殖の末、品種として安定させ、『翠玉』(すいぎょく)と命名し現在、熊本市内の一部料亭などで流通している。 九州東海大学教授の椛田聖孝の報告書によれば熊本市の上江津湖にある国の天然記念物「スイゼンジノリ発生地」では平成9年(1997年)以降、水質の悪化と水量の減少でスイゼンジノリはほぼ絶滅したと分析されている。復活させるには保護区内に井戸を掘り、水量を確保する必要がある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スイゼンジノリ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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