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ティレル・019 () は、ティレルが1990年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。ハーベイ・ポスルスウェイトを責任者として設計された。現代フォーミュラカーの定番デザインとなった「ハイノーズ」を最初に採用したマシンである。 == 概要 == 019は1989年シーズンに使用した018の後継モデルであり、基礎的なメカニズムは変わっていない。フロントサスペンションはモノショック〔通常のツインショック式では左右のタイヤを個別のコイル/ダンパーユニットで制御するが、モノショックでは単体のユニットにリンクすることで車体の横方向への傾き(ロール)を抑制する。〕とプッシュロッドを組み合わせたティレル独自の構造で、モノショックのダンパーに電動アクチュエータを取り付け、走行中に1mm単位でフロントの車高(ライドハイト)を調節することができた〔『GP CAR STORY Vol.4 ティレル019・フォード』、41頁。〕。 エンジンも前年と同じく、ハートチューンのDFRを継続して使用した。タイヤメーカーはグッドイヤーからピレリへ変更した(開幕戦の018より)。 最大の変化は車体前半部分にみられる「ハイノーズ」と呼ばれる斬新な空力デザインであった。ティレルはノーズを上方に持ち上げ、モノコックの下側に空間を作ることで、車体の底へ気流を流し込み、路面との間でより多くのダウンフォースを発生させることを狙った。宙に浮いた格好のノーズは、イルカの頭部に似ていることから「ドルフィンノーズ」と呼ばれた。この状態では「フロントタイヤの後端からリアタイヤの前端までの部分は、車体下面を平滑な面にしなければならない」とされるフラットボトム規定に抵触してしまうが、019ではアンダーパネルをフロントタイヤの後端の位置まで突き出すことで規定をクリアしていた〔アンダーパネル前部の延長部分は「シリープレート」または「ティートレイ」と呼ばれる。〕。 またフロントウィングは、それよりも上方にあるノーズコーンに取り付けるために根本付近が斜めに湾曲しており、「アンヘドラル(下反角)ウィング」と呼ばれた。あるいは、かつてのアメリカの戦闘機「F4U コルセア」のような逆ガル翼形状であったことから「コルセアウィング」とも呼ばれた。 これらの設計は、エアロダイナミスト(空力設計者)のジャン=クロード・ミジョーのアイデアである。フロントセクションを持ち上げる設計は翌年以降、多くのチームのマシンにも採用された。ジョーダン・191のような019と似た形状のものだけでなく、ベネトン・B191のようにフロントウィングの左右を繋ぎ、ノーズから2本のピラーで吊り下げるような形状のものも登場した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ティレル・019」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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