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HAART療法(ハートりょうほう) (Highly Active Anti-Retroviral Therapy) とは、複数の抗HIV-1薬を各人の症状・体質に合わせて組み合わせて投与し、ウイルスの増殖を抑え後天性免疫不全症候群 (AIDS) の発症を防ぐ治療法である。 用語的には「Therapy」と「療法」とで意味が重なってしまうが(RAS症候群参照)、「ハート」の音やアルファベットの並びだけでは、何を指すのか判りづらい事もあり、日本語においては便宜的に「治療」や「療法」をつける場合が多い。複数の薬剤を組み合わせることから、俗称的にカクテル療法とも呼ばれる。 == 歴史 == 核酸の構成物質である、チミジンの水酸基の一つをアジドに置換したアジドチミジン(AZT)が、HIV-1の増殖を抑制することが判明し、1987年に米国で初めての抗HIV-1薬として認可される。薬剤のターゲットはウイルス酵素の一つである逆転写酵素(RT)である。作用機序としてはウイルスの逆転写の際、偽物の核酸を取り込ませて逆転写を途中で止める事によって、ウイルスの増殖を抑制する。この事から、核酸を基本とした核酸系逆転写酵素阻害剤(Nucleoside analogue RT Inhibitor:NRTI)の開発がされる。しかし、単一種の薬剤による治療では薬剤耐性ウイルスの出現が避けられず、また重篤な副作用により、治療を中断せざるを得ない状況が起こるようになった。 そこで治療方法の幅を広げるため、1980年代後半にはHIVの再生産の時に働くウイルス酵素の一つである、プロテアーゼをターゲットとする薬剤の開発が行われるようになる。作用機序としては、プロテアーゼの活性中心に結合し、機能を阻害する物が開発された。1990年代前半にいくつかのプロテアーゼ阻害剤(Protease Inhibitor:PI)が開発され、1995年に米国で最初のプロテアーゼ阻害剤であるサキナビルが正式に認可される。 また1990年代前半に、それまでとは作用機序の異なる、逆転写酵素阻害剤の開発が始まった。それまでの逆転写酵素阻害剤とは異なり、逆転写を止めるのではなく、逆転写酵素の活性中心に結合し機能を阻害する、プロテアーゼ阻害剤と同じ発想の薬剤である。核酸を基本としないことから、非核酸系逆転写酵素阻害剤(Non-Nucleoside RT Inhibitor:NNRTI)と区別される。そして1996年に米国でネビラピンが認可される。 この様にして、1990年代中頃には数種類の抗HIV-1薬が登場した。1996年国際エイズ学会にて逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤を併用することによって、劇的に治療効果が上がったことが発表された。この事実からHIV感染症治療として、多数の薬剤を組み合わせてウイルスの増殖を抑える、多剤併用療法HAARTが行われるようになる。 以後、先進諸国ではHAARTによりAIDSによる死亡率が顕著に低下し、患者予後が著しく改善された。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「HAART療法」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Management of HIV/AIDS 」があります。 スポンサード リンク
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