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ベロ毒素(ベロどくそ、verotoxin)とは、腸管出血性大腸菌(EHEC, enterohaemorrhagic ''E. coli'')が産生し、菌体外に分泌する毒素タンパク質(外毒素)である。一部の赤痢菌(志賀赤痢菌、''S. dysenteria'' 1)が産生する志賀毒素(しがどくそ、シガトキシン)と同一のものであり、志賀様毒素(しがようどくそ、shiga-like toxin)とも呼ばれる。真核細胞のリボソームに作用して、タンパク質合成を阻害する働きを持つ。腸管出血性大腸菌や赤痢菌の感染時に見られる出血性の下痢や、溶血性尿毒症症候群(HUS)、急性脳症などのさまざまな病態の直接の原因となる病原因子である。 ==概要== ベロ毒素は、病原性大腸菌の一グループである腸管出血性大腸菌 (EHEC) が産生する毒素である。EHECの病原因子を探索する過程でベロ細胞(Vero細胞、アフリカミドリザルの腎臓上皮由来の動物培養細胞の一種で、感染実験や毒性実験などに汎用される)に対して致死性の細胞毒性を持つものとして発見された〔Konowalchuk, J.、Speirs, J. I.、Stavric, S.、1977年12月「Vero response to a cytotoxin of Escherichia coli 」『Infection and Immunity』(American Society for Microbiology)18巻3号 775~779ページ、2011年1月9日閲覧。〕ことからその名がついた。EHECが細胞内で産生し、菌体外に分泌するタンパク質性の外毒素であり、互いによく似た構造を持つベロ毒素1(VT1)とベロ毒素2(VT2)の2つが知られている。ベロ毒素1は、すでに志賀赤痢菌が産生する毒素として知られていた志賀毒素と同一であったことが後に判明した。ベロ毒素2は、ベロ毒素1と生物学的症状が似ているが、免疫学的性状、物理化学的性状が異なる。〔日本薬学会、2006年6月22日「ベロ毒素と志賀毒素 」『薬学用語解説』2011年1月9日閲覧。〕〔大宅辰夫、2006年7月27日「腸管出血性大腸菌O157と家畜衛生 」『研究トピック・ミニセミナー』農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所九州支所、2011年1月9日閲覧。〕 ベロ毒素は、毒素としての活性を持つAサブユニット(Activeサブユニット)1個と、細胞との結合活性を持つBサブユニット(Bindingサブユニット)5個から構成される、A1B5型と呼ばれる毒素タンパク質である。Bサブユニットによって宿主の細胞に結合した後、Aサブユニットが細胞質内に輸送され、このAサブユニットが真核生物のリボソームに結合してタンパク質合成を不可逆的に阻害する。この作用によってタンパク質の合成が出来なくなった細胞は死に至り、さまざまな組織で組織傷害を生じる。 EHECのベロ毒素と赤痢菌の志賀毒素は、どちらもこれらの菌の染色体上に組み込まれたファージ上の遺伝子にコードされていることから、EHECと赤痢菌との間でファージを介して伝達された可能性が高いと考えられている。〔Asadulghani M et al. (2009) The defective prophage pool of Escherichia coli O157: prophage-prophage interactions potentiate horizontal transfer of virulence determinants. 〕 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ベロ毒素」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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