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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ ー : [ちょうおん] (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
ワーキングメモリ(Working Memory)とは認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。作業記憶、作動記憶とも呼ばれる。ワーキングメモリの構造や脳の関連部位を調べる研究が多数行われている。一般には、前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基底核の一部がワーキングメモリに関与すると考えられている。 ワーキングメモリの研究は、人間の行動実験や脳損傷事例、イメージング研究、サルによる行動実験やマウスを使った脳部位の切除実験など、幅広い分野の研究成果に基づいている。ただし、これらの研究の間でワーキングメモリという語の用法は必ずしも一貫しておらず、情報の操作を伴わず単に一時的に保持しているという短期記憶の意味で用いられていることも少なくない。ワーキングメモリの研究は世界中で盛んに行われている。ワーキングメモリに関する研究成果は、自閉症〔Hill, E. L. (2004). Executive dysfunction in autism. Trends Cogn Sci, 8(1), 26-32〕や注意欠陥多動障害(ADHD)〔Levy, F., & Farrow, M. (2001). Working memory in ADHD: prefrontal/parietal connections. Curr Drug Targets, 2(4), 347-352〕への理解を深め、指導方法を改善に導くのに有用であるとされている〔Postle, B. R. (2006). Working memory as an emergent property of the mind and brain. Neuroscience, 139(1), 23-38〕。また、人工知能研究にも応用されている〔Constantinidis, C., & Wang, X. J. (2004). A neural circuit basis for spatial working memory. Neuroscientist, 10(6), 553-565.〕〔Vogels, T. P., Rajan, K., & Abbott, L. F. (2005). Neural network dynamics. Annu Rev Neurosci, 28, 357-376〕。 == 歴史 == この用語を初期に用いたのは、心をコンピュータにたとえた1960年代の理論においてであった。ただし、はじめてこの語を用いた文献は明確に特定されていない。この用語以前には、ワーキングメモリに相当する概念は短期記憶、operant memory、provisional memory などと呼ばれていた〔Fuster, J. M. (1997). The Prefrontal Cortex: Anatomy, physiology, and neuropsychology of the frontal lobe (2 ed.): Lippincott, Williams & Wilkins〕。今日、研究者のほとんどはワーキングメモリの概念をそれらの代替とするか、短期記憶の概念がワーキングメモリに包含されると考えている。ワーキングメモリという用語を短期記憶という用語と特に区別して使うことには、受動的な記憶保持よりも能動的な情報操作の側面を強調する意図があると思われる。 == ワーキングメモリの容量 == ワーキングメモリは、一般に容量に限界があると考えられている。短期記憶に関する容量限界という考えを具体化したものとしては、Miller (1956)による「マジカルナンバー7±2」がある〔Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or minus two: Some limits on our capacity for processing information. Psychological Review, 63, 81-97〕。この論文によれば、数字や単語を記憶する場合、人が記憶できる量は「チャンク」と呼ばれる塊りで表すと7±2個の範囲に収まるとされた。その後の研究で、容量はおぼえる素材の種類に依存し、数字なら約7個、文字なら約6個、単語なら約5個であることが分かってきた。長い単語よりも短い単語の方がたくさんおぼえられるという現象(語長効果)も、それぞれの単語を記憶するのに必要なワーキングメモリ容量の違いによって説明されることがある(この解釈には異論もある)〔Baddeley, A. (2007). Working memory, thought, and action. Oxford University Press.〕。一般に言語的素材(数字、文字、単語)の記憶容量は、その人がその素材を声に出して読んだときにかかる時間と関係があると考えられ、素材についての知識状態(その単語を知っているか)にも依存する〔Hulme, C., Roodenrys, S., Brown, G., & Mercer, R. (1995). The role of long-term memory mechanisms in memory span. British Journal of Psychology, 86, 527-536.〕。他にも容量に影響する要因があり、人間のワーキングメモリや短期記憶のチャンク数を具体的に定量化することは難しい。Cowan (2001)〔Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24, 87-185〕 によれば、厳密な条件の統制を行ったり適切な推定法を用いたりすることによって見かけ上の記憶成績を増やす要因をできる限り排除すると、若年成人の純粋な短期記憶容量は約4チャンクになる(子どもや高齢者ではこれよりも少ないとの報告もある〔Cowan, N., Nugent, L. D., Elliott, E. M., Ponomarev, I., & Saults, J. S. (1999). The role of attention in the development of short-term memory: Age differences in the verbal span of apprehension. Child Development, 70, 1082-1097.〕)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ワーキングメモリ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Short-term memory 」があります。 スポンサード リンク
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