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仕組債(しくみさい、structured bonds)とは、オプションやスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を組み込むことで、通常の債券のキャッシュ・フローとは異なるキャッシュ・フローを持つようにした債券である。仕組み債とも書く。1980年代半ばから普及し始めた。 == 概要 == 「仕組債」とはデリバティブが組み込まれた債券のこと。債券+デリバティブ=仕組債と考えることが出来る。 但し大半の場合債券元本は利子を得るための資金運用元本としての性質はほとんどなく、顧客が損失を被った場合の担保の役割を果たすものであり、顧客が受けるクーポンは、経済的意味における利子(資金運用の対価)の性質はほとんどなく、オプション系の仕組債であれば取引によって損失を負担するリスクを負うことによる対価(オプション料)に相当する。 仕組債は、発行側(発行体及びデリバティブ提供者)にとっては調達コストがはっきりと投資家にわからないため大きな収益を得ることが可能となり、販売会社にとってはまとまった販売手数料が入る。 投資家にとってのメリットは通常の債券では得られないキャッシュフローが得られることであり、高リスクの裏返しである見かけ上の高配当の他に、収益は先食いするが含み損は表面化させずに先送りできる商品もある。 一方、デメリットとして、複雑ゆえに評価が難しいため、期待できるリターンが大きなマイナスとなる「ハイリスク・ローリターン」ならぬ「ハイリスク・マイナスリターン」となる商品を知らずに購入させられている例が極めて多いこと、会計上の問題、流動性の低さ、が指摘されている。 上記の問題から欧米では個人向けの販売が禁止されている。 利益と損失の発生の仕方が非対称で、損失を被った場合の額が莫大になる商品、期待収支がマイナスになる商品が多い。スワップ系の一部の仕組債では、普通社債のキャッシュフローをデリバティブを駆使して変更しているだけであって期待収支がマイナスとは言えない商品もあるとも言われるが、少なくともオプション系の仕組債の大半は実際の相場を基にシミュレーションを行ってみると、購入者の期待収支は大きくマイナスとなっていることがわかる。 これは仕組債(デリバティブ取引)は「発行体(含むデリバティブ提供者)の利益+販売会社の手数料+税金=購入者の損失」というゼロサムの関係であることから、この取引で発行体が利益を上げるためには必然的に顧客側が損失を被ることになるためである。 デリバティブ提供が収益を上げる目的ではなくリスクヘッジ目的で行われるケースであれば必ずしも顧客側の期待リターンはマイナスになるとは限らないが、期待収支シミュレーションを行うと大半は大きなマイナスとなるため、そういったケースはほとんどないと思われる。 仕組債の利率もしくは償還金額(償還形態)、早期償還の条件はデリバティブの対象アセットにより変動する。対象アセットとして主要なものは、金利、為替、株式、各種指標、クレジット、コモディティー、投資信託等、基本的に市場があれば何でも可能である。また本質的には資金を対象アセットに投資するわけではないため、指標を気温や降水量とする天候デリバティブを組み込むことも可能である。 当初はキャップをつけたものやステップアップ債、ステップダウン債といったキャッシュフローを組み替えただけのシンプルなものが主流であったが、デリバティブの発展と共に、最近ではTarget Redemption債(TARN)といった複雑な経路依存型オプションを組み込んだ商品が数多く見られる。 仕組債の発行者の大半は別にスワップを組んでおり、複雑なデリバティブの提供者は外資系を含めた証券会社を中心とする金融機関である。起債の自由度が高いユーロ市場での発行が大半で、EMTNプログラムにより発行されることが多い。 個人投資家は証券会社の「売出し」(公募)による仕組債を購入することが可能だが、資金力のある富裕層や法人は、希望するキャッシュフローや投資年限、許容リスクなどに応じてオーダーメイドで発行される私募仕組債に投資することが可能である。私募の仕組債への投資単位は、取り扱う証券会社にもよるが、1,000万円程度である。完全に自由にオーダーメイドしたい場合は5,000万円から1億円以上となる。 なお、個別の仕組債の名前は通称であり、特に決まった定義はない。同じ形であっても、販売会社によって違う名前で呼ぶことがある。 預金に仕組みを持たせた「仕組預金」や、投資信託に仕組みを組み込んだ「仕組投資信託」もあるが、実質的にはいずれも仕組債と同じく顧客が預けた資金を担保とするデリバティブ取引であり、個人向けに販売されている商品のほぼ全ては期待リターンが大きくマイナスとなるように設定されている。 損失が発生した場合の損失額の大きさ、もしくは損失が発生する可能性の大小についての説明を金融機関が十分に行わずに仕組債を販売し、顧客(特に個人・地公体・学校法人等)が多額の損失を被るケースが多発し社会問題化したため、問題視した金融庁が平成22年4月に販売業者に対する監督指針を改正し、販売に当たっては「過去のストレス時のデータ等、合理的な前提を踏まえた最悪のシナリオを想定した想定最大損失額について、顧客が理解できるように」説明する必要があると明文化された。 しかしその後も、証券会社が顧客にリスクを十分に説明しないまま仕組債を販売していた事例があり、証券取引等監視委員会の検査において「会社として営業姿勢に問題がある」と指摘されている〔※現在はインターネットアーカイブに残存〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「仕組債」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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