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制限行為能力者(せいげんこういのうりょくしゃ)とは、単独では完全に有効な法律行為をすることができない者(行為能力の制限された者)のことをいう。 具体的には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、民法第17条第1項の審判(同意権付与の審判)を受けた被補助人〔被補助人のうち、代理権付与の審判のみを受けた被補助人は、制限行為能力者に含まれない。同意権付与の審判を受けていない被補助人は、行為能力が制限されないからである。〕を指す(民法20条第1項参照)。 *以下、民法については、条数のみ記載する。 == 概要 == ===制度趣旨=== 私法上の法律関係は、権利義務の主体が、その意思に基づいてのみ発生・変更させるという原則(私的自治の原則)を基本として構成される。したがって、法律関係が有効に成立するには、法律行為をなすときに、各人が権利義務の主体となるに足る意思を持ちうること、すなわち意思能力が必要とされる。 もしも法律行為のときに、この意思能力を欠いていた場合には、その法律行為は無効となる。そして、法律行為のときに意思能力を欠いていたことを理由として法律行為の無効を主張するには、その法律行為がなされた時点において、自らに意思能力が無かったことを証明しなければならない。しかし、これは容易ではないため、意思能力という実質的な基準だけでは、判断能力が不十分な社会的弱者の保護を図ることができないおそれがある。また、意思能力がなかったことが証明された場合には、当該法律行為は無効となるので、相手方に不測の損害を与えるおそれもある。 そこで民法は、意思能力の有無が法律行為ごとに個別的に判断されることから生じる不都合を回避し、判断能力が不十分と考えられる者を保護するため、あらかじめ年齢や審判の有無という形式的基準により行為能力の有無を定めた。この行為能力が制限された者を制限行為能力者といい、個別の事情により未成年者、成年被後見人、被保佐人、同意権付与の審判を受けた被補助人に類型化される(20条)。各類型の制限行為能力者は、それぞれ一定の法律行為につき、単に制限行為能力者であることを理由として、法律行為を取り消すことができるものとした。これにより、判断能力の不十分な者を意思能力の証明の問題から解放して保護を図り、併せて、制限行為能力者の取引の相手方に注意を促して、不測の損害を被ることのないようにした。 なお、婚姻や養子縁組、遺言など、身分行為には制限行為能力制度の適用はない。身分行為を行う能力については個別に要件が定められている(未成年者の婚姻について定めた民法731条、民法737条等)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「制限行為能力者」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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