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合成の誤謬(ごうせいのごびゅう、fallacy of composition)とは、ミクロの視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量)の世界では、必ずしも意図しない結果が生じることを指す経済学の用語〔野口旭 『「経済のしくみ」がすんなりわかる講座』 ナツメ社、2003年、45頁。〕。 == 解説 == 何かの問題解決にあたり、一人ひとりが正しいとされる行動をとったとしても、全員が同じ行動を実行したことで想定と逆に思わぬ悪い結果を招いてしまう事例などを指す〔。 例えば、家計の貯蓄などがこれに当たる〔。所得が一定の場合、一家計が消費を削減した場合、必ず貯蓄額が増加する。これはミクロの視点において、一家計の支出削減は経済全体に影響せず、その家計の収入を減少させる効果はないと考えられているためである。そのため所与の収入において支出を削減すれば貯蓄額が増加する。 しかしマクロの視点まで考えると状況が変わる。経済全体の家計が貯蓄を増加させようと消費を削減した場合、貯蓄率が上昇するが貯蓄額は変わらない。一方の経済主体の支出は、他方の経済主体にとっては所得となる。そのため家計全体が消費を削減することで、家計の所得も減少するためである。収入が減少するため貯蓄額の割合は高まり、貯蓄率が上昇する。家計の支出削減の努力は自らの収入減少に帰結する。マクロ経済においては家計の貯蓄額を決定するのが企業・政府の投資と経常収支の合計だからである。 ほかにも、企業の借金の返済〔橘木俊詔 『朝日おとなの学びなおし 経済学 課題解明の経済学史』 朝日新聞出版、2012年、146頁。〕や人員削減〔三菱総合研究所編 『最新キーワードでわかる!日本経済入門』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2008年、13-13頁。〕、関税障壁による貿易収支の改善など、ミクロでは正しくてもマクロでは違う結果をもたらすものは多い。それはミクロのメカニズムが経済の一片における仕組みであるのに対して、マクロのメカニズムは経済全体の循環における仕組みだからである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「合成の誤謬」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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