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井笠鉄道機関車第2号形蒸気機関車(いかさてつどうきかんしゃだい2ごうがたじょうききかんしゃ)は、井笠鉄道に在籍した蒸気機関車の1形式である。 == 概要 == 開業以来順調に増加する乗客、貨物に対応すべく、井笠鉄道は形式機関車第弐號、番号4として1917年11月10日に運転整備重量12.2tで軸配置B1の水管ボイラー搭載機関車の設計認可を所轄監督省庁である鉄道院から得た。 この水管ボイラーは、当時東京府荏原郡池上町に所在した宮原機械研究所が特許権を保有していた宮原式水管缶〔帝国海軍制式の艦本式水管缶の基本となったもので、所長の宮原二郎予備役機関中将(当時。元艦政本部第四部長)が海軍時代に輸入品のヤーロー缶などを参考に開発した。横管式水管ボイラーの一種。6本の円筒形管とそれらを斜めに結ぶ長管、それに垂直に結ぶ短管で構成され、上部の2本の円筒形管が煙管ボイラーにおける蒸気溜の役割を果たす構造であった。〕と呼ばれる、艦船用としては実績のある構造のものであった。 水管ボイラーには原理上、火室で直接水管を加熱するため伝熱面積が通常の煙管ボイラー搭載車と比較して同条件で1/3程度の面積で済む〔機構としては一般家庭で用いられている瞬間湯沸かし器と同様で、水を通した細管をボイラー内に螺旋状に配置して熱を水に伝達、沸騰させる。〕という、熱効率の点で大きなメリットがある。だが、高温・高圧となる上に複雑な形状の水管を備えた水管ボイラーを艦船と比較して振動の多い鉄道車両に車載するには技術的な困難が多く〔欧米においても(超高圧ボイラーとしての採用であったが)艦船用水管ボイラーを転用搭載する蒸気機関車はいずれも量産段階に到達せず試作に終わっている。〕、この宮原式水管缶を搭載した機関車は、山東鉄道および有田鉄道、つまり当時和歌山県下に存在した小私鉄2社が実際に購入したものの不成功に終わり〔例えば、有田鉄道2となったB型8.5t機は不具合多発のため、わずか数年で通常の煙管ボイラーへの載せ替えを実施している。〕、導入を目論んだもう1社である流山鉄道に至っては、完成時のボイラー検査に合格せずキャンセルとされるという有様であった。 こうした状況下で、井笠鉄道はこの4号機関車の発注キャンセルを決断した。これに伴い同社は1919年4月13日付で「機関車増強認可取消申請書」を鉄道院に提出したが、機関車増備の必要性が無くなったわけではなかったことから、別途煙管ボイラーを搭載する通常構造の蒸気機関車の認可申請を合わせて同院に提出した。 しかし鉄道院は、一旦設計審査を行って妥当であると認めた設計を取り消すことが立場上できなかった。そのため問題の水管ボイラーを搭載する4号機関車についての認可取消を認めず、別途提出された煙管ボイラー搭載機関車の設計認可申請についても認可を与えなかった。 ただし鉄道院はこれらの申請について、既認可の4号機関車について全面的な設計変更を行い、却下された別途提出分の機関車と同一設計の煙管ボイラー搭載車に設計を改めるための書類申請と見なして諸手続きを行った。これは実質的に既認可の4号機関車を取り消して新設計の機関車を認可したのと同じ結果が得られる処理で、監督省庁としての鉄道院の権威を損ねず、しかも問題のあった特殊構造の機関車を通常構造の機関車に振り替えたいという井笠鉄道の希望を叶える、一種の弥縫策であった。これらの手続きにより、井笠鉄道は同年同月22日付で4号機関車の設計変更認可が得られることとなった。 こうして購入されたのが、大日本軌道鉄工部1918年4月製〔当時第1次世界大戦の影響で輸送量が増大し各鉄道の購買力は上昇していたものの、戦場となったヨーロッパメーカーからの機関車輸入は途絶し中古市場においても価格が高騰していたため、やむなくドイツ製機関車購入を断念して大日本軌道や日本車輌製造などの国内メーカー製機関車を購入する鉄道会社が相次いだ。〕の12t級C型機である。これは既存の1 - 3の続番として4とナンバリングされた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「井笠鉄道機関車第2号形蒸気機関車」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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