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強度変調放射線治療(Intensity-Modulated Radiation Therapy: IMRT)は、電離放射線のX線を用いて悪性疾患および一部の良性疾患を治療する放射線治療のひとつである。従来の放射線治療と比較して、自由度の高い線量分布が得られるのが特徴である。 照射野をいくつかのセグメントに分け、それぞれの線量強度を変調させた上で、複数の方向から照射を行ない、これにより、自由度の高い空間的な線量分布を得ることを可能とする。通常の放射線治療では避けにくかった放射線に弱い正常臓器を避けて治療を行うことができるため、有害事象の低減が図れる。さらに、病変部への照射線量を増加させることが可能な場合もあり、制御率向上に寄与することが期待される。 == IMRTの臨床応用 == *上・中・下咽頭癌をはじめ、耳鼻咽喉科で扱われる頭頸部領域の癌では、多くの症例で両側耳下腺への被曝を免れず、放射線治療後の唾液分泌低下は避けられない有害事象であった。こうした頭頸部癌に対しIMRTを用いることにより、耳下腺への被曝を大幅に低減でき、治療後の唾液分泌低下を避けることができる。耳下腺以外でも、従来では硝子体や視神経の被曝が避けられなかった症例で、IMRTによる被曝低減で視力の温存が期待できる例などがあり、生活の質に大きく関わる臓器が集中する頭頸部癌でIMRTが果たす役割は大きいと考えられている。 *また、前立腺癌では、治療にあたって81Gyといった高線量を処方しても、直腸の高線量領域を少なくすることで、直腸出血を低下させることができる。このようなことから、有害事象を許容範囲内に抑えつつ、治療成績を向上させる試みがなされている。 *そのほか、全身の多くの固形腫瘍に対してIMRTが試みられているが、IMRTでは低線量被曝の領域が広がることから、小児における照射後の成長障害や若年者では二次発がんの可能性が高まる可能性があることなど、今後解決していくべき課題も多い。 *IMRTは、腫瘍に対して高い放射線量を集中させ周囲の正常組織への影響を少なくし、放射線治療による副作用を最小限に抑えるといった特殊な放射線治療技術であることは確かであるが、IMRTが常に最良の照射法であるという根拠はなく、状況によっては様々な観点から通常照射を選択する方がよい場合もあり得る。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「強度変調放射線治療」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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