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押し付け憲法論(おしつけけんぽうろん)とは、1945年(昭和20年)に日本がポツダム宣言受諾後、和平条約を締結する以前の占領統治期に連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ/SCAP) が日本に対して日本国憲法を押し付けてきたという理論である。憲法学における論題の一つであり京都帝国大学教授であった佐々木惣一や、京都大学教授であった大石義雄らがこの説の主な論客である。 == 概説 == 1907年(明治40年)に署名されたハーグ陸戦条約(日本では明治45年条約第4号、「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」)の条約附属書「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」の第43条に、「国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的の支障なき限、占領地の現行法律を尊重して、成るべく公共の秩序及生活を回復確保する為施し得べき一切の手段を尽すべし。」(原文は片仮名体)と定められ、占領軍が占領地域の法律を尊重することを定めている。第二次世界大戦にハーグ陸戦条約が直接適用されたかどうかについては議論があるが〔平成19年(ワ)第5951号損害賠償等請求事件等。詳しくはハーグ陸戦条約#注記〕戦時慣習法では占領者が被占領者に対して憲法のような根本法の改正に介入あるいは命令する事は禁止されていると考えられている。 また、日本が受け入れたポツダム宣言の第12項においても「前記諸目的が達成せられ、且日本国国民の自由に表明せる意思に従い平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては、聯合国の占領軍は、直に日本国より撤収せらるべし。」(原文は片仮名体)との文言があることから、ポツダム宣言上も憲法改正を行うのであれば日本国民が主体的に行うべきであったにもかかわらず、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ/SCAP) などの強力な指導の下で決められたとの指摘がある。 法理論としては大日本帝国憲法(明治憲法)の天皇主権から、日本国憲法の国民主権に移行するさいに、明治憲法の73条に従った改正であったと見なした場合(憲法改正説)、君主主権の憲法が国民主権の憲法を生み出すことができるかとの視点から、できる(憲法改正無限界説)・できない(憲法改正限界説・無効説)との論が立つ。主権という究極を憲法法規が自立的に否定することはできない(限界説・無効説)との論は理論的にはばかにできないもので、八月革命説などがこれを回避するために提案された〔このほか横浜事件における失効説などがある。大石眞・京大教授の説。〕。一方憲法改正無限界説にたてば、明治憲法73条の規定に即した改正であったかどうかが論点となり、ここで押し付け憲法論が争点となる。 この考え方から、日本国憲法のような「押し付け」憲法ではなく、日本国民が自ら憲法を決めるべきという自主憲法論が形成された。また2012年末に第二次安倍内閣が発足して以降は、内閣支持者から憲法無効論の論拠として唱える人物も含め、インターネットを中心に多数現れた。 制定時に枢密院で審査委員として関わった野村吉三郎も「マッカーサーから強要」や「無条件降服というような状況であつて、彼らの言うがままになるほかないというような空気」と述べている〔昭和29年4月13日内閣委員会公聴会における公述人としての野村の発言。「この憲法がマッカーサーから強要されたときには枢密院におりまして、審査委員の一員でありました。この憲法は至るところに無理があるとは思いましたが、なかんずく第九条は後来非常にやつかいな問題になるんじやないかということを痛感したのであります。審査奮会でもしばく意見を述べ、政府の御意見も聞きました。しかし当時は無条件降服というような状況であつて、彼らの言うがままになるほかないというような空気でありまして、形の上においては枢密院もこれで通つたのであります」〕。 押し付け憲法論以外の立場を取る学者等からは、反論、指摘等がされている。詳細は以下を参照。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「押し付け憲法論」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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