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数学の位相空間論周辺分野において、考えたい種類の位相空間を割り出すための様々な制約条件が知られている。そういった制約のうちのいくつかが分離公理(ぶんりこうり、)と呼ばれる条件によって与えられる。に因んで、チホノフの分離公理とも呼ばれる。 分離公理が「公理」であるのは、位相空間に関する概念を定義するときに、これらの条件を余分な公理として追加して、位相空間がどのようなものかによってより制限された概念を得るという意味においてのみである。現代的なアプローチでは、きっぱりと位相空間を公理化してしまってから位相空間の「種類」について述べるという形になっているが、「分離公理」の語が定着している。いくつかの分離公理に "T" が付くのは「分離公理」を意味するドイツ語の ''Trennungsaxiom'' に由来する。 分離公理に関する用語の正確な意味は時とともに変化してきた。特に、古い文献を参照する際には、そこで述べられているそれぞれの条件の定義が、自分がそうだと思っている語の意味と一致しているかどうか確認しておくべきである。 == 定義 == === 用語の準備 === 分離公理自体の定義をする前に、位相空間における分離集合(分離点)の概念の具体的な意味を与える。(分離集合は次節で定義する「分離空間」と同じ意味でない)。 分離公理は交わりを持たない集合や点を位相的な意味で区別する仕方を述べたものである。位相空間の元に対して、それらが相異なるというだけでは不十分で、それらがさらに「位相的に識別可能」であってほしいし、同様に位相空間の部分集合が交わりを持たないというだけでは不十分で、それらがさらに(いろんな意味で)「分離される」ことが望ましい。種々の分離公理があれやこれやと述べるのは、それらの点や集合がある弱い意味で識別されたり分離されたりすれば、あるより強い意味でも識別されたり分離されたりするということである。 ''X'' を位相空間とし、''X'' の二点 ''x'', ''y'' が位相的に識別可能 (''topologically distinguishable'') とは、二点が全く同じ近傍系を持たないこと(あるいは同じことだが、同じ開近傍系を持たないこと)である。これはつまり、二点のうち少なくとも一方が、他方の近傍とならないような近傍を持つ(あるいは同じことだが、一方を含み他方を含まない開集合が存在する)ことを言うものである。''x'' と ''y'' とが位相的に識別可能な点ならば一元集合 と とは必ず交わりを持たない。 二点 ''x'', ''y'' が分離される (''separated'') とは、二点の各々一方が他方の近傍とならない近傍を持つことを言う。これはつまり、二点の何れの一方も他方の閉包に属さないということである。より一般に、''X'' の二つの部分集合 ''A'' と ''B'' とが分離されるとは、各々一方が他方の閉包と交わらないことを言う(閉包同士は交わるかもしれない)。二点 ''x'', ''y'' が分離されるための必要十分条件は単元集合 , が分離されることである。以下、集合同士の間の条件について単元集合を考えることで、点同士あるいは点と集合の間の条件として適用することができる。 引き続き、部分集合 ''A'' と ''B'' とが、近傍で分離されるとはそれらが交わらない近傍を持つことを言い、閉近傍で分離されるとはそれらが交わりを持たない閉近傍を持つことを言う。またそれらが函数で分離されるとは、 ''X'' から実数直線 R への連続函数 ''f'' が存在して、像 ''f''(''A'') が に等しく、かつ ''f''(''B'') が に等しくできることを言う。最後に、それらが函数でちょうど分離される (''precisely separated by a function'') とは、''X'' から R への連続函数 ''f'' で原像 ''f''−1() が ''A'' に等しく、かつ ''f''−1() が ''B'' に等しいようなものが存在することを言う。 これらの条件は挙げた順に従ってより強い制約になっている。例えば、任意の位相的に識別可能な二点は相異なるし、任意の分離された点は位相的に識別可能である。そして、任意の分離された集合は必ず交わらないし、二つの集合が近傍で分離されるならば分離される。他も同様である。 これらの条件の(分離公理に関する以外でのことも含めて)より詳しくはおよびを見よ。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「分離公理」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Separation axiom 」があります。 スポンサード リンク
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