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歯科医師過剰問題(しかいしかじょうもんだい)とは、主として歯科医師免許取得者が増加し、需要と供給のバランスが成り立たなくなる社会問題を指す。 == 概要 == 医科におけるあらゆる診療科全ての医師を養成する医学部定員が約9,000人であるのに対して、歯学部単独での定員が約2,500人であることからも歯科医師の供給が過剰であることは明らかである。平成22年度調査で初めて歯科医師数が10万人を突破し、急速な増加傾向を示している。そのため、受診患者数の減少・保険点数の引き下げ等の影響を受けて、全国的に歯科医院間での競争が激化、それに伴って経営状態が年々悪化している。さらには、廃業(倒産)を選択せざるを得ない歯科医院も増え、特に東京都内では1日1軒のペースで廃院に至っている。現在、全国統計でコンビニエンスストア店舗数より歯科医院数が多く(コンビニ数の1.6倍、2011年)、 収益悪化の対策として日曜診療や深夜診療等を行う歯科医院が増加している。 厚労省の2005年医療経済実態調査などによれば、歯科開業医(1医院の平均歯科医師数は1.4人)の儲けを表す収支差額の平均値は1か月当たり120万円程度であり、これを歯科医1人当たりの平均年収に直すと約737万円になるが、歯科医師の4人に1人は年収200万円以下となっている。特に地方の歯科医師過剰地域では収入が減少して経営状態が悪化する傾向にあり、札幌市中央区の開業歯科医の平均年収は300万円以下となっている。帝国データバンクによると1987年度 - 2004年度に発生した医療機関の倒産は全国で628件あり、その約43%(268件)を歯科医院が占めている。厚生労働省の調査によれば、2007年度の推定平均年収は約737万円となっているが、高額な先行投資(私立大学歯学部授業料や開業資金等)が必要であることを考慮すると、投資額を除いた実質的な収入は一般的なサラリーマン程度であるとの指摘がある。一般に歯科医師は高収入というイメージが強いが、実際の平均収入はそれほど多くはない。また、収入が年々悪化するため、歯科医師をワーキングプアとしてとりあげる報道も増加した。こうした状況を受けて、東京歯科保険医協会が都内の歯科医師を対象とした2009年調査で、「子どもを歯科医師にしようと思う」と答えたのは7%と、調査を開始した1983年の23%から大幅に減少した。歯科医院の所得減少に対して私立歯科大側から歯科医に対し、「歯科医院はヤリカタ次第でまだまだ儲かる」と言われてきたが、そういった努力は限界を迎えたとの声が大きい。 歯科医師数は平成2年時と平成20年と比較すると約3割増加している。その間、医療制度改革で歯科医療行為あたりの診療平均単価が約15%減少した。国民医科医療費がその間(平成2年〜平成20年)、大幅増加(約20兆円/年 → 約30兆円/年)だったのに対し、国民歯科医療費はほとんど増加していない(約2.5兆円/年のまま)。 政府は今後、歯科医の適正数などの調査を実施したうえで、抑制策の詳細をつめる。具体的には、歯大や歯学部の統合・再編を促して入学定員を早期に1割削減するほか、国家試験の合格基準を引き上げて合格者を絞り込む(第103回歯科医師国家試験(2010年)には新基準での歯科医師国家試験が行なわれた。 歯科医師の数は、保険診療を主体とした上で高収入が得られるという条件では人口10万人に対して50人が妥当とされている。こうした歯科医師過剰対策を厚生労働省が行っても解決の糸口が見えないため、経営不振の歯科医院は廃業に追い込まれ、職に就けない歯科医師が増加し、また学生の集まらない私立歯科大は廃校に追い込まれる「自然淘汰」を待つしかないといわれている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「歯科医師過剰問題」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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