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深海救難艇(しんかいきゅうなんてい、英:Deep Submergence Rescue Vehicle、DSRV)は、海中で遭難・沈没した潜水艦の乗員を救助する専用の潜水艇である。 == 概要 == 深海救難艇は救難に特化した小型潜水艇であり、そのために必要な装備を持っている。潜水艦救難艦への搭載や、空輸の後に潜水艦や船舶へ搭載する事で事故海域へ移動する。 潜水艦に対する救難手段を持つ事は潜水艦乗員の士気を保つために重要である。米海軍では原子力潜水艦スレッシャーの事故にあたって深海の沈没潜水艦に対する救難手段の不足を痛感し、その整備に着手している。従来主流であったレスキュー・チェンバーによる救助では海底につりおろす救助チェンバーから作業員が飽和潜水によって海中に出て、人力で救助活動を行っていたが、この方法では沈没艦の正確な位置捕捉が不可欠であること、また飽和潜水には深度限界があり、人員の加圧・減圧に時間がかかるため事故に対する迅速な対応が不可能であった。このため救難装備を備えた潜水艇を開発し海中での自由行動を可能とすることで、おおよその位置に潜航して海底を捜索する事が可能となったほか、艇内が常圧であるため加圧の必要がないなど、迅速な救助活動が可能となった。 米国や日本の深海救難艇は相互に接続された三つの耐圧球からなり、これに外殻を張った複殻構造を持つ潜水艇である。前部耐圧球は乗員と操船設備からなり、中部耐圧球は下部に接続ハッチを持つスカートを備えた救難区画、後部耐圧球は機械室となっている。外部監視装置としてソナー、投光機、テレビカメラ、窓を備える他、必要に応じて障害物を除去出来る様にマニピュレーターを備えることもある。推進用のプロペラに加えハッチに正確に接近・接合するために前後左右にスラスターを持ち微妙な位置調整が可能となっている。機関は蓄電池により電動モーターで駆動する。このため移動は低速で、広範囲の捜索にはむかない。 深海救難艇は海中で遭難艦を捜索し、発見すると艇体下部のスカートと遭難艦の専用ハッチを接合(メイティング)し、スカート内部を減圧・排水した後に深海救難艇と遭難艦のハッチを開いて通路を形成し、遭難艦の人員を深海救難艇に移乗させる。負傷者は担架に載せられたまま移乗させるがその作業には深海救難艇の救難作業員と遭難艦の健康な乗員が行う。一度に全員を収容できない場合は、深海救難艇が支援艦と遭難艦の間を往復して遭難艦の乗員を救助する。深海救難艇は各国で整備されているが、その接合方法は共通とされている。これは任務の性質上、必ずしも自国艦との接舷のみを行うとは限らないためである。このため潜水艦の上部甲板には救難ハッチの位置を明示する塗装がなされている。これは隠密行動を主とする潜水艦における塗装の例外となっている。 DSRVは小型であるが故に単体での活動時間は短く、広域捜査を行なうには母艦との連携が不可欠となる。また自艦の活動時間や安全潜航深度の限界、遭難艦の傾き具合によっては接合そのものが不可能になるなど制約も多い。そのため米国や英国では活動に融通がきく無人潜航艇との組み合わせによる救難態勢を整備している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「深海救難艇」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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