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猿払事件(さるふつじけん)は、公務員の「政治的行為」と刑罰に関して争われた刑事事件である。 ==事案の概要== 被告人は、北海道宗谷郡猿払村の鬼志別郵便局に勤務する郵政事務官で、A労働組合協議会事務局長を務めていた。 公訴事実によれば、被告人は、1967年(昭和42年)1月8日告示の第31回衆議院議員総選挙に際し、A労働組合協議会の決定にしたがい、B党を支持する目的をもって、同日同党公認候補者の選挙用ポスター6枚を自ら公営掲示場に掲示したほか、その頃4回にわたり、右ポスター合計約184枚の掲示方を他に依頼して配布した。 国家公務員法102条1項は、一般職の国家公務員に関し、「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」と規定し、この委任に基づき人事院規則14―7(政治的行為)は、右条項の禁止する「政治的行為」の具体的内容を定めており、右の禁止に違反した者に対しては、国家公務員法110条1項19号が3年以下の懲役又は10万円以下の罰金を科する旨を規定している。被告人の前記行為は、人事院規則14-7・5項3号、同6項13号の特定の政党を支持することを目的とする文書すなわち政治的目的を有する文書の掲示又は配布という政治的行為にあたるものであるから、国家公務員法110条1項19号の罰則が適用されるべきであるとして、起訴された。 第一審判決(旭川地方裁判所判決昭和43年3月25日下刑集10巻3号293頁)は、右の事実は関係証拠によりすべて認めることができるとし、この事実は規則の右各規定に該当するとしながらも、非管理職である現業公務員であつて、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものが、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、かつ、職務を利用せず又はその公正を害する意図なくして行つた人事院規則14―7・6項13号の行為で、労働組合活動の一環として行われたと認められるものに、刑罰を科することを定める国家公務員法110条1項19号は、このような被告人の行為に適用される限度において、行為に対する制裁としては合理的にして必要最小限の域を超えるものであり、憲法21条、31条に違反するとの理由で、被告人を無罪とした。また、原判決(札幌高等裁判所判決昭和44年6月24日判時560号30頁)は、検察官の控訴を斥け、第一審判決の判断は結論において相当であると判示した(被告人無罪)。 そこで、憲法21条、同31条の解釈の誤りを主張して、検察官が上告した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「猿払事件」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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