|
一つの指輪(ひとつのゆびわ、)は、J・R・R・トールキンのファンタジー小説に登場する架空の魔法の指輪。トールキンが創作した中つ国世界を舞台としたシリーズのうち、第1作である『ホビットの冒険』から登場し、その続編『指輪物語』ではこの指輪を巡る物語が描かれる。 「主なる指輪」()〔『新版 指輪物語』1、113頁,『The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring』、57頁。〕、「支配する指輪」()〔『新版 指輪物語』1、138頁,『The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring』、68頁。〕、「一つ」(the One)〔『新版 指輪物語』1、115頁,『The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring』、58頁。〕とも呼ばれる。『ホビットの冒険』における主人公、ビルボ・バギンズが偶然手にした際には、身につければ姿を消すことができる不思議な指輪として登場するものの、それは指輪の能力のほんの一部に過ぎず、『指輪物語』では最大の敵役である冥王サウロンが中つ国を支配するための手段であると同時に弱点でもあるという位置づけで登場する。 外見上は単純に金で作られているように見えるが、物理的にいかなる手段でも損なわれることはなく、もともと鍛造された火山の亀裂に投げ込むことでしか破壊することができないという設定である。同じくサウロンが創造した下位の指輪と異なり、宝石はついていないが、(劇中においてはほとんど知られていなかった)単純な方法で「一つの指輪」であることを試すことが出来る。火で熱すると、火文字で書かれたモルドールの言葉による伝承の一節が浮かび上がるのである。 ==歴史== 第二紀、冥王サウロンがエルフの金銀細工師の力とかれの力を合わせて、かれの力を増し、かつケレブリンボールとその部下がサウロンの影響下で作ったほかの力の指輪を支配するためにこれを作った。そのために指輪に自分のフェア(魂あるいは精神)の一部をこめた。したがって、かれは、指輪を身に付けている間は以前より強くなるが、失うとはるかに弱くなることとなった。 バラド=ドゥーアの包囲戦で、イシルドゥアがサウロンの手から指輪を切りおとし、王家の宝とした。その後、イシルドゥアはあやめ野でオークの奇襲を受け、指輪の裏切りによって命を落とす。指輪は大河アンドゥインの川床に隠されており、およそ2000年後、デアゴルという名のホビット(詳しくはストゥア族)によって発見された。しかし、デアゴルのいとこスメアゴルが彼を殺害し、指輪を盗んでしまう。結果、スメアゴルは村を追われ、孤独と指輪による延命の影響により、ゴクリという狡猾さと残忍さを伴う不愉快な生物となった。『ホビットの冒険』で伝えられるように、のゴクリのねぐらの近くの洞窟で道に迷ったビルボ・バギンズは指輪を見つけ、指輪の与える不可視性がかれの冒険に役立つことに気づく(『ホビットの冒険』を書いた時、トールキンはまだ指輪に関する不吉な物語を考案していなかった)。 数十年後、友人である魔法使いガンダルフの助言に従い、ビルボはかれの親戚で養子のフロドに指輪を与えた。この指輪の歴史の中で初めて自発的に手放したことから、一連の出来事の連鎖を誘発し、結局その破壊に結びつく。偶然と運命の間の相互作用が『指輪物語』の暗黙のテーマである。 この時、すでにサウロンはかれの力を回復し始めていた。また、モルドールの暗黒の塔が再建された。一つの指輪の奪還を防ぐために、滅びの山オロドルインの火の中で指輪を破壊しようと、フロドたち9人の仲間は裂け谷からモルドールに向けて出発した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「一つの指輪」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 One Ring 」があります。 スポンサード リンク
|