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立体テレビ放送(りったいテレビほうそう)とは、視聴者に立体的な映像を表示することができる3次元ディスプレイ(薄型テレビ等)に向けたテレビ放送のことである〔本稿で言うテレビ放送には、地上波TV放送、衛星波TV放送、ケーブルTV放送、IP放送が含まれる。〕。3Dテレビ放送とも。視聴者が被写体を自由な視点から観察できる「自由視点テレビ」〔谷本 正幸, "自由視点テレビ," 映像情報メディア学会誌 Vol.55, No.12 (2001)〕などを前提とした、新しいテレビ放送も含まれる。 == 放送方式 == 2010年現在、3D映像を放送するための放送方式は、日本および世界的にも標準化が進んではいない。 3D映画を含めれば、立体動画を記録・伝送する基本的な方式には「サイド・バイ・サイド」方式と「ライン・バイ・ライン」(インターレース)方式の2つがあるが、世界的には試験放送や実用放送をして進められている3Dテレビ放送としては「サイド・バイ・サイド」方式にほぼ定着している。他の方式には「トップ・アンド・ボトム」、「フレームシーケンシャル」や「フレームパッキング」もある。 「サイド・バイ・サイド」方式では、画像の横幅だけをオリジナルの2分の1に圧縮して、左右の視点から見たこの2枚の画像を横に並べ、その他は従来の2D画像と同様に放送する。受信機側では横幅だけを2倍に伸ばして2枚の画像を得る。動画であるので、この処理をフレームごとに行う。 サイド・バイ・サイドにも複数の形式が存在するため、放送方式の標準は定まっていない。 日本ではNHKメディアテクノロジーが開発した「MT」方式を、BS11が2007年12月から定常的に3D放送を開始し、BS-TBSがそれに続いたのでこれが幾分優位な立場であったが、2009年年末に日本のSONYが米RealD社の「RealD」フォーマット〔米RealD社は映画用の3D映像の上映用規格でも有名であるが、本稿で言うRealDフォーマットは3DTV放送用の規格である。〕を採用した3DTVを発表した後、2010年のInternational CESでJVC-Kenwood、Panasonic、Toshiba、Samsung、DIRECTVがRealIDを採用と発表して巻き返しになった。他にもカナダのSensio Technologies社の「SENSIO 3D」方式が以前から米国や英国でスポーツ中継放送に用いられたりして、2010年のCESでは米VIZIO社がSENSIO方式の採用を発表している〔サイド・バイ・サイドとライン・バイ・ラインのいずれであっても表示画素数は2Dに比べるて落ちるが、無理にデジタル放送の1チャンネル内に3D放送を収めようとしない放送事業者もある。韓国KCC放送では、地上波アナログ1チャンネル分6MHzの帯域を使いMPEG-2による左右2チャンネルを使った放送を2010年10月から開始する予定である。〕。 放送方式を含む世界的な標準化を行っているITU-Tでは、H.264を基にしたH.264/MVCを2008年に標準化した。H.264/MVCは「Blu-ray 3D」に採用された。サイド・バイ・サイドとライン・バイ・ラインが、フレーム当たりの表示画素数を半分にして左右同時伝送するのに対して、H.264/MVCは、左右画像の表示画素数はそのまま、H.264 AVCおよびマルチビュー符号化により圧縮して格納するものである。なお、Blu-ray 3Dでは伝送方式〔具体的には、対応プレイヤー ~ HDMIケーブル ~ フレームパッキング対応3DTVにおける方式。〕にフレームパッキング方式が採用されている。なお、ITU-T自身はH.264/MVC以降の次世代規格をも策定中であり、いずれもサイド・バイ・サイド方式などとの互換性がない。 これらの他にも映画会社によるDVD/BDでの映像ソフトのフォーマットやケーブルTV会社の配信フォーマット、録画機器を含めたTVメーカーの動向など、関連する要素が多い。標準候補の乱立の懸念も含めて、3DTV放送の標準的な放送方式は収束までしばらく時間がかかる可能性がある〔野澤哲生著、『世界で始まる3D放送 業界標準巡る争い激化』、日経エレクトロニクス2010年4月19日号〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「立体テレビ放送」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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