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『ABC殺人事件』(原題:''The ABC Murders'')は、1936年に発表されたアガサ・クリスティの長編推理小説である。クリスティ18作目の長編で、エルキュール・ポアロシリーズの長編第11作にあたる。知名度・評価ともに高い著者の代表作の一つである。 日本語初訳は『ABC殺人事件』(日本公論社刊、伴大矩訳、1935年〔英・米探偵小説新傑作選集〕)。 == あらすじと真相 == 「今月21日、アンドーヴァーを警戒せよ」と文末に「ABC」と署名された挑戦状のとおり、Aで始まるアンドーヴァー(Andover)の町で、イニシャルがA.A.の老女アリス・アッシャー(Alice Ascher)の死体が発見され、傍らには「ABC鉄道案内」が添えられていた。 間もなくABC氏から第2・第3の犯行を予告する手紙が届き、Bで始まるベクスヒル(Bexhill)でイニシャルがB.B.の女性、Cで始まるチャーストン(Churston)でイニシャルがC.C.の紳士が殺害され、やはり死体の側には「ABC鉄道案内」が置かれていた。犯人は、地名とイニシャルが一致する人物をアルファベット順に選び殺害していると推測されたが、被害者達それぞれに動機がある者はいても、被害者達にABC以外の関連性はなく、犯人の正体と動機はわからない。 やがてセントレジャー競馬が行われる日に犯行を予告する手紙が届く。ポアロらは第4の殺人を防止すべく、競馬の開催地ドンカスター(Doncaster)へ向かうが、町の映画館で殺害されたのはイニシャルがDの人物ではなくEの人物であった。近くにイニシャルがDの人物が座っていたため、犯人に間違えられたものと思われた。 アルファベット順に選んだ対象を無作為に殺害していく愉快犯の仕業と警察が捜査方針を固める中、てんかん持ちのアレクサンダー・ボナパート・カスト(''Alexander Bonaparte Cust'')は新聞報道を読んで自分が犯人なのではないかと悩み自首してくる。彼の家からは「ABC鉄道案内」が多数発見され、事件は解決したかと思われたが、ポアロは真犯人が別にいると推理する。彼はいかに理性を失したように見える人間の犯行であっても、そこには犯人なりの論理性や理由があるはずであり、何の理由もないのにアルファベット順に人を殺害していくというのは殺害動機としてあり得ないと考えていた。 ポアロは一連の事件の被害者を調べ上げ、一連の犯行予告や連続殺人事件は警察を攪乱するためのもので、真犯人は明確な目的をもって殺害した一件の殺人を、明確な殺害理由のない連続殺人事件の中に紛れ込ませようとしていたことを見抜く。ポアロは真犯人と対決してこれを追い詰め、事件を解決する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ABC殺人事件」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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