|
BOP試薬(ぼっぷしやく、Bop reagent)とは、ホスホニウムを共通構造に持つペプチド合成などに用いられる試薬である。 元はカストロ (Castro) らが開発したベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩((Benzotriazol-1-yloxy)-tris(dimetylamino)phosphonium hexafluorophosphate; CAS番号56602-33-6; 略号Bop)を意味したが、今日では各種誘導体が開発されておりホスホニウム塩のペプチド縮合剤の総称を意味する場合もある。 == 概要 == ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩はカストロ試薬 (Castro's reagent) とも呼ばれる〔Hudson, D. ''J. Org. Chem.'' 1988, ''53'', 617.〕。カストロらはトリス(ジメチルアミノ)ホスフィン/CCl4によるペプチド縮合反応を研究し、活性中間体がクロロトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムであることを見出し、より安定な活性種誘導体であるベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩を開発した〔Revialle, P.; Goutron, J.; Castro, B. ''Tetrahedron'' 1980, ''36'', 3413.〕。 いずれのBOP試薬も反応系中で遊離カルボン酸と反応しHOBtエステルなど活性エステルを生成させる縮合剤である〔活性エステル種は試薬により異なり、カストロ試薬の場合はHOBtエステルである〕。 カストロ試薬を利用して、P. RivaileらはLH-RHホルモンフラグメントを合成し〔Rivaile, P.; Gautron, J. P.; Castro, B.; Milhaud, G. ''Tetrahedron'' 1980, ''36'', 3413.〕、Wengerらはシクロスポリンを合成している〔Wenger, R. M. ''Helv. Chim. Acta'' 1984, ''67'', 502.〕。 同じくHOBt活性エステルを生成するDCC/HOBt法に比べカストロ試薬は反応も速く、DCUのような不溶性の副産物を生成しない点は有利である。しかしカストロ試薬自体は反応後に生成するHMPAの発癌性が問題視されており、BOP誘導体が代換品として利用されることが多い。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「BOP試薬」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|