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欧州連合外務・安全保障政策上級代表(おうしゅうれんごうがいむ・あんぜんほしょうせいさくじょうきゅうだいひょう)は、欧州連合の共通外交・安全保障政策の調整を担う役職。2009年、リスボン条約発効後初の代表としてキャサリン・アシュトンが就いた。リスボン条約発効後に新設される欧州対外行動局を牽引する役職でもある。 もともとこの役職はアムステルダム条約で「共通外交・安全保障政策上級代表」として設置され、リスボン条約が発効するまでの10年にわたってハビエル・ソラナが務めてきた。リスボン条約によりこの役職は欧州委員会の副委員長と欧州連合理事会の外務理事会議長を兼ねることとなった。アメリカ合衆国のクリントン政権は2000年5月に共通外交・安全保障政策上級代表について、かつてヘンリー・キッシンジャーが発言したとされる“Who do I call if I want to call Europe?”(ヨーロッパに電話するとき、だれにかければよいのか?)という疑問に答えられるものだとした。また、その立場から「EU外相」ともいわれている。 == 沿革 == アムステルダム条約によって共通外交・安全保障政策上級代表が国際的に欧州連合を代表する役職として設置されたが、このとき共通外交・安全保障政策上級代表は欧州連合理事会事務総長が兼ねることとなった。そのため当時の事務総長であったユルゲン・トルンプフが初代上級代表に就任したものの、その任期はほんの数か月程度であった。ハビエル・ソラナが就任すると、共通外交・安全保障政策上級代表の役割は急速に拡大し、多くの権限が上級代表に統合されていった。 欧州憲法条約では欧州委員会の対外関係担当委員と共通外交・安全保障政策上級代表を統合して、欧州連合外務・安全保障担当大臣が設置されることとなっていたが、欧州憲法条約は発効が断念され、その代替となるリスボン条約は名称が改められた。リスボン条約では欧州連合外務・安全保障政策上級代表とされ、欧州憲法条約と同様に対外関係担当委員と共通外交・安全保障政策上級代表を統合し、欧州対外行動局の補佐を受けることとされた。当初はハビエル・ソラナがこの職に選出されていたが、役職の設置に遅れが生じたうえ共通外交・安全保障政策上級代表に10年間にわたって在任していたことから、ソラナは退任することを決めた。ソラナの在任中は地味な外交官として活動してきたうえ、交渉を重ねることに徹し、また不可能と思われた任務を成し遂げてきた。 リスボン条約の起草で欧州憲法条約にあった表現が改められたとはいえ、多くのメディアではこの役職を「外相」と呼びならわしている。ところが外務・安全保障政策上級代表は欧州連合理事会事務総長との兼職を廃した一方で、欧州委員会副委員長を兼ねさせることとした〔。上級代表と欧州委員会委員を統合することによって、キッシンジャーの疑問に対する答えをより明確にするものとされている。 多くの候補が挙がったなかで、欧州理事会は非公式会合でイギリス出身のキャサリン・アシュトンを初代外務・安全保障政策上級代表に指名することで合意した。当時アシュトンは欧州委員会の通商担当委員を務めており、外交の経験がなかった。中道左派所属の各国首脳らが全員一致して推したことで、アシュトンは最有力候補に押し上げられたのである。アシュトンの正式な就任には欧州議会の承認が必要である。またこの会合では欧州連合理事会事務総長にピエール・ド・ボワシューが任命され、上級代表と事務総長が兼務しないということが改めて示された。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「欧州連合外務・安全保障政策上級代表」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 High Representative of the Union for Foreign Affairs and Security Policy 」があります。 スポンサード リンク
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