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NPO法人 : ウィキペディア日本語版
特定非営利活動法人[とくていひえいりかつどうほうじん]

特定非営利活動法人(とくていひえいりかつどうほうじん)は、1998年12月に施行された日本特定非営利活動促進法に基づいて特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、同法の定めるところにより設立された法人である。NPO法人とも呼ばれる(NPOは、''Nonprofit Organization''あるいは''Not-for profit Organization''の略。「NPO」も参照のこと)。
金融機関関係のカナ表記略号はトクヒ。
== 概要 ==
「特定の公益的・非営利活動を行うこと」(内容は特定非営利活動促進法#法における定義を参照)を目的とする法人である。「非営利」とは、団体の構成員に収益を分配せず、主たる事業活動に充てることを意味し、商業活動を行うこと等の収益を得る行為を制限するものではない〔即ち、構成員に対して利益の還元をしてはならず、その目的の事業の更なる発展・強化を図るための資金へまわすことを目的としている〕。
特定非営利活動促進法の制定時、非営利法人制度の一般法としては民法(改正前)が存在し、日本で非営利かつ公益の活動を行う団体は、民法34条(当時)に規定された公益法人(社団法人財団法人)となる方法が存在した。しかし、同規定に基づいて法人格を取得する際に行政機関許可が必要であり、法人格取得後も主務官庁による指導を受けることがあるなど活動に制限が多く、市民による自由で自発的な活動に適した法人格が求められていた〔森泉章『新・法人法入門』有斐閣、2004年、184頁〕。
一般法である改正前民法第34条(旧公益法人制度)の改正に至らなかったため、特定非営利活動促進法は、その特別法として制定された。したがって、特定非営利活動法人は特別法公益法人である。なお、特定非営利活動法人は社団法人(人の集まり)であって、同法に財団法人(財産の集まりが法人格を有するに至ったもの)型の法人はない〔特定非営利活動促進法2条2項の定義参照〕。
同法では、旧公益法人に採用されていた主務官庁による許可主義ではなく、既に宗教法人制度で採用されていた、最も行政庁による内容への介入が行われにくい認証主義という形態を採用した(10条)。認証取消しによる解散(31条1項7号)など所轄庁による指導監督の権限がなくなったわけではないが、志向性としては主務官庁の指導による団体統治の代わりに、市民への情報公開による団体統治を志向している〔情報公開に関する規定として、10条2項、28条、30条等がある。〕。これにより非営利で公益的な活動をする団体が、従来よりも簡便に、自由に法人格を取得できることを目指した。
同法がNPO法制化運動の成果であったこと、同法の制定当時は非営利団体(NPO)(中でも特に行政庁の政策と異なる意見を有する団体)が簡便自由に活用できる法人格としては特定非営利活動法人しかなかったことから、同法をNPO法、特定非営利活動法人をNPO法人という通称で呼ぶことが定着し、その後の中間法人制度の制定、公益法人制度改革を経て、法制度としてはNPOが活用できる法人格が多様化した後もそのまま通称が残った経緯がある。
特定非営利活動とは、一般に不特定かつ多数の者の利益(=公益)の増進に資する法人として公益法人が民法で既に定義されていたことから、特別法としての位置づけと整合性をとるため、特定非営利活動促進法別表に掲げる一定の分野(=特定非営利活動)に限定列挙されたものをいう。
特定非営利活動法人は、宗教的・政治的活動を主たる目的として行うことはできない(45条1項4号イ(1))。また、選挙活動を目的とした活動は行うことができない(同号イ(3))。但し、これは、政治、宗教関係者が特定非営利活動法人に関わることを排除するものではなく、法人の理事に政治家(議員に限らず地方公共団体首長等も含む)や宗教家(僧侶や司祭等)が就任している実例も多い。
従来の公益法人に比べ、設立手続きが容易であるため、法施行直後から、法人格を取得する団体が急増し、2008年10月末現在3万5千を超える団体が認証されている。特に、従前は任意団体として活動していた団体が法人格を取得するケースが目立つ(任意団体では銀行口座の開設や事務所の賃借などといった、各種取引契約などの主体になれないケースがあるが、NPO法人であれば法人名で契約が可能である〔内閣府・NPOホームページ「NPOを知ろう(NPOの基礎知識)」より 〕)。
税制については、法人税は収益事業課税であり、さらに印紙税法において「営業者」と扱われないために受取書や領収書への印紙の貼付義務を持たないが、他には特に税制優遇はない。所轄庁(2012年4月以前は国税庁長官)から認定を受け認定特定非営利活動法人になると特定公益増進法人と同様の寄附控除等の対象となり、法人内部でのみなし寄附も20%まで可能となる。
なお、一般法である改正前民法第34条による公益法人制度が、2006年の公益法人制度改革により改革され、非営利目的の法人の設立は一般社団法人一般財団法人として準則主義で簡便に登記によりできるようになり、税制優遇についても民間人有識者による合議制機関により公益法人認定法の要件に合致していると認められれば高度の優遇を受けられる公益法人としての認定を受けられるようになり、NPO法制化運動が当初目指した法人制度により近い形が実現したことによって、特定非営利活動法人制度が法人法制度全体のなかで有する上記の意義・位置取りは変化してきている〔法改正後の根拠法及び一般法は民法第33条の第1項・第2項。〕〔詳しくは、特定非営利活動促進法のあとに中間法人法が制定され、非営利の団体が法人となる際に利用できる法制は公益法人制度改革の以前から既に複数化していたが、中間法人制度は公益法人制度改革に伴い一般社団法人制度に統合された。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「特定非営利活動法人」の詳細全文を読む



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