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XLドイツ航空888T便墜落事故 : ウィキペディア日本語版
XLドイツ航空888T便墜落事故[えっくすえるどいつこうくう888てぃーびんついらくじこ]

XLドイツ航空888T便墜落事故(XLドイツこうくう888Tびんついらくじこ)とは、2008年11月27日15時46分 (UTC) ごろ、チェック飛行中だったXL航空 (ドイツ)(以下XLドイツ航空)のエアバスA320-232型機(機体記号:D-AXLA)が南フランスカネ海岸沖の地中海に墜落した航空事故である。操縦クルー2人を含む搭乗していた7人の関係者全員が死亡した。
== 概要 ==
当該機はもともと2005年にニュージーランド航空が新規購入し、その関連会社を通してXLドイツ航空にドライリースされていたものだった。2008年11月末にリース期間満了により返却される予定で、既に返却のための各種整備や再塗装作業を終了していた。この日は整備や塗装を実施したペルピニャン・リヴザルト空港発着でXLドイツ航空クルーによるチェック飛行を行ったのちにフランクフルトに回送し、翌日にはニュージーランド航空のパイロットが操縦して帰国する予定だった。同機は2人のドイツ人(XLドイツ航空)が機長副操縦士を務め、これにニュージーランド航空のパイロットがコックピット内の第三シートに立会者として着席した。この他にニュージーランド航空の整備士3人(返却整備の監督・監視が目的)、ニュージーランド民間航空局の技官(帰国時の耐空証明発行が目的)1人の計4人が搭乗していたが、彼らはこのチェックの立会が目的ではなく、フランクフルトに移動するための便乗したものであり、キャビンに座っていた。事故報告書ではドイツ人2人が操縦クルーで、立会をおこなったニュージーランド人パイロットを含めた他の搭乗者5人は「乗客」扱いとなっている。
14時44分にペルピニャン・リヴサルト空港を離陸した888T便は当初、西フランスおよび大西洋(ビスケー湾)上空に出て各種チェックを行い、およそ2時間30分後に再びペルピニャンに帰投する予定をしていた。だが、提出したフライトプランに関してXLドイツ航空とフランス管制側の双方で解釈の相違(正式な試験飛行なのか、単なるチェック目的の飛行なのか)があり、コクピットと管制の間で遣り取りが行われたが、最終的には一般機の運航を支障するとの理由で飛行の続行が管制により拒否された。このため離陸後60分未満の時点でペルピニャンに戻ることになったが、コックピット内では、帰投までにできることは終えておきたいとの考えから、可能なチェック項目を選んで実施していた。そして最後に、「低速試験」と呼ぶチェックを行い、最後にはゴーアラウンドをして(ペルピニャンには着陸せずに)そのままフランクフルトに向かおうということになった。
15時43分41秒、高度4,080フィートでエンジンをアイドルにし、ピッチコントロールだけ (OP DES) で 3,000フィートまで降下した。この間に脚を下げ、フラップ位置を FULL にセットし、ランディングコンフィグレーションとなった。
15時44分30秒、機長は高度3,000フィートで安定させて自動でピッチ調節を行って高度を維持するモードにセットした。速度は136ノットだった。エンジンはアイドル状態になっているため速度が低下するので、高度を維持するために機首上げが強まっていった。この機動により、ピッチを制御する水平安定板の自動トリム(電動式)は機首上げ一杯の -11.2 度〔エアバス機種は機首上げ方向のトリム量(角度)をマイナスで表す(ボーイング機種ではプラス表示)〕まで跳ね上がった。
15時44分58秒、高度は2,940フィートで速度は107ノット(Vmin)になった。
通常であれば速度が110ノット強まで下がった段階で「アルファ・プロット (alpha prot)」と呼ばれる失速防止機能が起動し、自動機首上げトリミングは停止し、またエアブレーキ(スピードブレーキ)が引っ込むなどの対応が自動で行われ、操縦スティックに力を加えなければその時の速度が維持されるはずであった。また、ここでパイロットがスティックに力を加えると速度維持機能はキャンセルされて速度が下がるが、およそ107ノットで「アルファ・フロア (alpha floor)」と名付けられた第二の失速防止機能が起動し、自動スロットルがオンになりエンジン出力が離陸推力まで上昇するはずだった。当該フライトで行おうとしていたチェックは、このうちの後者である「アルファ・フロア」機能が正しく働くことを確認するものだった。ちなみに、更にこの状態で自動スロットルを切り、スティックを手前一杯の位置で維持すると、速度が Vmin まで下がった段階で自動スロットルが入りこの速度が維持される機能も備えられていた。
ところが上述の失速防止機能はどれも働かずに速度だけが下がっていき、15時45分5秒、高度2,910フィート、速度は Vmin を下回る99ノット、ピッチ18.6度機首上げの状態で突然失速警報音が鳴りだした。
機長は失速警報時の対応手順に則り、直ちにスロットルを押して離陸推力にセットし、同時に操縦スティックを前に倒して機首下げ操作を行った。これにより一旦はピッチがやや下がり速度も増したので落ち着いたかと思われ、警報音も消えた。だが、それまでの操縦の結果、水平安定板のトリムが機首上げ一杯の位置にあり、かつパイロットはスロットルをほぼ全開状態に維持したため、速度の増加と共に機首が上がりはじめ、スティックをいくら前に押してもこれを止める事ができなかった。機首上げ過大状態により再び速度が低下し、ついには高度3,788フィートでピッチ角57度、対気速度40ノット以下という状況に達し、完全な失速錐もみ状態となり降下し始めた。これ以降、脚の引込、フラップやスラットの展開格納その他様々な操作を試みたが、ついに失速状態から回復できないまま海面に激突した。はじめに失速警報音が鳴ってから62秒後であった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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