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ハミ(馬銜、銜、)は、馬具の一種であり、馬の口に含ませる主に金属製の棒状の道具である。轡(くつわ)。 == 概要 == 頭絡を構成する部品で、両端は騎手が手に持つ手綱と接続されており、拳による騎手の扶助操作を、口への刺激として馬に伝える役割を持っている。 馬は、前歯(切歯。牡馬は犬歯も)と奥歯(臼歯)の間に「歯槽間縁(しそうかんえん)」と呼ばれる歯の生えない部分を持つ。頭絡の頬革の長さを調節し、この歯槽間縁に収まるように正しく支持されていれば、馬は口中のハミを歯で噛むことはない。歯槽間縁の発見とハミの発明が、馬を乗用動物の筆頭とした要因である。 人間と馬の長い歴史にあって、人間が馬を思いのままに制御しようと試みた中で、ハミは最大の発明であるといわれる。おそらくハミが発明されるまでは、縄を馬の首や頭部に巻きつけただけであったと考えられ、騎手の細かい制御の意思を的確に伝えることが困難であったと思われる。ウマの家畜化年代には議論があるが、ハミの利用は馬の家畜化年代を推定する指標として用いられている。カザフスタンのボタイ遺跡から出土した紀元前3500年頃の馬歯にはハミ痕が残り、この頃には馬具を用いた馬の家畜化が行われていたと考えられている〔『甲斐の黒駒-歴史を動かした馬たち-』(山梨県立博物館、2014)、p.10〕。なお、ウマの家畜化自体はこれを遡る紀元前4500年頃とする説もある〔『甲斐の黒駒-歴史を動かした馬たち-』(山梨県立博物館、2014)、p.10〕。。当初は縄、骨、角または硬い木で作られていたが、紀元前1,300年から1,200年の間に青銅製のハミが使われ始めた。 日本列島には4世紀から5世紀の古墳時代に馬が伝来したと考えられている〔『甲斐の黒駒-歴史を動かした馬たち-』(山梨県立博物館、2014)、p.21〕。日本列島の遺跡から出土する馬骨はほぼすべてが家畜であるためハミ痕は家畜化を議論とする材料には用いられないが、ハミを使用する乗馬に対して、人が引く駄馬には後述する「おもぐい(オモゲー)」と呼ばれるハミ痕の残らない馬具が使用されるため、ハミ痕の有無で馬の用途を探ることが可能とも考えられている〔『甲斐の黒駒-歴史を動かした馬たち-』(山梨県立博物館、2014)、pp.113 - 114〕。 ハミのおかげで、騎手のごく細かい扶助を口という非常に敏感な器官を通じて馬に伝えることが可能になり、複雑な運動や制御を可能にしたのである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ハミ (馬具)」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Bit (horse) 」があります。 スポンサード リンク
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