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巣守(すもり)とは、 *源氏物語の古注釈、梗概書、巻名目録や源氏物語古系図などの一部に現れるかつて存在したが今は内容が失われてしまったと考えられている源氏物語の巻名。「巣もり」、「すもり」、「住守」などと表記されることもある。下記の雲隠六帖の中の巣守と区別するとき「古本巣守」と呼ばれることもある。 *上記のような複数の源氏物語の外伝的な巻々の総称。宮内庁書陵部蔵の『源氏秘義抄』には「すもり六帖」、島原松平文庫蔵の『光源氏一部謌』には「すもり五帖」といった記述が見られる。 *上記の巻で描かれていたとされる二人の中心的な人物のこと。「巣守の君」、「巣守三位」などとも表記される姉と「巣守の中君」などとも表記される妹の姉妹。 *鎌倉時代に作られたと考えられる源氏物語の補作である山路の露の異名。九条稙通自筆本など一部の写本では標題を「すもり」と書かれている。 *室町時代に作られたと考えられる源氏物語の補作である雲隠六帖の第二帖の巻名。(雲隠六帖における)雲隠の並びの巻であるとされており、光源氏が飛仙になったことを伝え聞いた冷泉帝をはじめとする人々の様子などを描いた前半部分と夢浮橋の後日譚になる後半部分からなる〔そのため、雲隠六帖が成立した中世以降の文献において「源氏物語の巻名」として「巣守」が現れるとき、雲隠六帖の巣守である可能性と本項で詳述される巣守の巻である可能性の両方があることに注意を要する。〕。なお、雲隠六帖の中の「巣守」を「古本巣守」と明確に区別するときには「六帖系巣守」と呼ばれることがある〔稲賀敬二「幻(雲隠六帖)」山岸徳平・岡一男編『源氏物語講座 第4巻 各巻と人物 2』有精堂、1977年(昭和52年)。のち「幻巻と「雲隠六帖」 六帖系「巣守」巻の性格」として『 源氏物語研究叢書 4 源氏物語注釈史と享受史の世界』、新典社、2002年(平成14年)8月、pp. 289-291。 ISBN 4-7879-4928-4 〕。 *源氏物語とは別の一つの独立した現在は内容が伝わらない物語の名前〔堀部正二「「桜人」・「狭蓆」・「巣守」攷」『中古日本文学の研究 資料と実証』教育図書、1943年(昭和18年)、pp. 155-191。〕 *:連歌師高山宗砌の説を飛鳥井世録が書き留めたとされる室町時代中期の文献『宗砌説世縁聞書』(古梓堂文庫蔵)には、「物語少々」として、「住吉・浜松・伏屋・すもり・たけとり・さ衣・代続・岩屋・うつぼ・伊勢」などとして、「すもり」が王朝時代の代表的な物語と並べて記されている。 == 現存の源氏物語中に見られる「巣守」 == 現在一般的に流布している54帖からなる源氏物語において、「巣守」の語は橋姫の巻において宇治八宮の中の君が詠んだ歌「泣く泣くも羽うち着する君なくはわれぞ巣守になりは果てまし」の中に現れる。 源氏物語においては、真木柱、雲居の雁、落葉の宮、柏木、夕霧、夕顔など、作中で印象的・特徴的な言葉を含んだ歌が詠まれたときに、その言葉がその歌を詠んだ人物やその歌の中に詠み込まれた人物の呼称として使われることがしばしばある。無名草子の中で語られる源氏物語の登場人物の評論において、「巣守の中の君」なる人物が現れるが、この人物については上記の橋姫の巻にある歌にもとづいて宇治の八の宮の中の君のことであるとする説が有力であるが、後述の巣守物語の登場人物であるとする説も存在する〔「無名草子」輪読会編『無名草子―注釈と資料』和泉書院2005年(平成17年)2月。 ISBN 4-7576-0247-2 〕。 また、源氏物語の巻名は異名とされるものを含めて多くがその巻の中にある歌の言葉からとられており、そのことからすると「巣守」が橋姫の巻の異名とされる可能性もあるがそのような扱いをされた形跡は存在しない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「巣守」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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