|
『はるかなる黄金帝国』(はるかなるおうごんていこく)は、1980年に旺文社より出版された、インカ帝国の末期を舞台としたやなぎやけいこ原作の児童文学である。第28回産経児童出版文化賞受賞作品。 実質上最後の皇帝であるアタワルパと、彼が最も信頼を寄せた一人の貴族出身の青年の交流を軸に、南米最大の勢力を誇った黄金の国インカが、フランシスコ・ピサロ率いるスペイン人によって侵略されていく様子が描かれて行く。続編に、ビルカバンバの谷に落ち延びた新・インカ帝国のスペイン軍への抵抗を描いた「まぼろしの都のインカたち」がある。 == ストーリー == 西暦1500年頃、6月のインティ・ライミの祭りで盛り上がるタワンティン・スーヨ(インカ帝国の正式名称で、「四つの地方から成る世界」の意味)国民達の中で、若い貴族ルーミ、ミカイ夫妻の屋敷前に、一人の赤ん坊が捨てられていた。子供を亡くしたばかりで沈んでいた夫妻は、この新しい家族の誕生を喜び、その男の子に「クシ」(ケチュア語で「喜び」の意味)と名づけ、後に生まれた実の息子ワマン(ケチュア語で「鷲」の意味)、娘チャスカ(ケチュア語で「明けの明星」の意味)と同様、愛情を込めて育てた。 やがてクシは少年へと成長し、タワンティン・スーヨの学校とでもいうべき、ヤチャイワシへと通う事になる。そこで皇帝ワイナ・カパックの第2皇子(史実では第3皇子だが、本作では第1皇子の存在は省かれている)、アタワルパと出会い、やがて二人の間には友情が生まれて行く。 一方チャスカは、幼少期に偶然クシと自分達が本当の兄妹ではない事を知ってしまう。ショックを受けながらも、誰にも言わないようにしようと誓うチャスカだったが、成長するとともに兄と思わなければならないはずのクシに対して、いつしか恋心を抱くようになっていた。一方クシも、チャスカよりかなり遅れて自分がルーミ一家の本当の息子ではないと知ってしまう。それを誰にも言わず自分の胸に閉まってきたクシだが、チャスカの事を兄としての愛情ではなく一人の女として愛するようになってしまった。 やがてチャスカの元に縁談が舞い込む。悩むクシはその気持ちを紛らわすために危険な伝令の仕事を好んで志願するようになるが、アタワルパはそんなクシに容赦ない叱咤を浴びせ、チャスカを自分のものにしてみせろ、と言う。アタワルパの厳しい激励を受け、ついに決心したクシはチャスカに想いを打ち明け、チャスカも自分の想いを打ち明ける。お互いが既に自分達が本当の兄妹でないと知っていた事が分かった以上、二人の愛を阻むものはもはや無くなり、二人は結婚する。 皇帝ワイナ・カパックが死去して、次の皇帝にはアタワルパの兄ワスカルが即位する。クシとチャスカは貴族の身分を捨てて農民としての生活を選ぶ。やがて二人の間に男の子が生まれ、クシによりチェハン(ケチュア語で「真実」の意味)と名づけられた。 一方新皇帝ワスカルとアタワルパとの仲が決裂し、両者はついに武力衝突、激戦の末アタワルパ軍が勝ちを収め、第13代タワンティンスーヨ皇帝にアタワルパが即位した。 しかしそれからまもなく、農民として暮らしていたクシの元に、ワマンからアタワルパが「ひげの生えた白い人間達」に捕らえられたとの知らせが届いた。 アタワルパがワマンを呼び、「クシに会いたい、頼む、クシを連れて来てくれ」と頼んだ。命令ではなく、頼んだというアタワルパの言動に衝撃を受けたクシは、農民用の粗末な耳飾りから再び貴族用の立派な耳飾りに付け替え、宮廷へと向かう・・・ 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「はるかなる黄金帝国」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|