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ほくろの手紙 : ウィキペディア日本語版
母の初恋[ははのはつこい]

母の初恋』(ははのはつこい)は、川端康成短編小説。全5章から成る。母の初恋の人に引き取られた娘が、密かに彼を慕いながらも、別の男のもとへ嫁いでゆく悲恋の物語。亡き母の恋が神秘な力で娘のをくぐって伝わってゆくという主題で、妻子持ちの男と若い娘の実らない恋が潔く描かれている〔三島由紀夫「解説」(『夜のさいころ』)(浪漫新書・トッパン、1949年)。三島由紀夫「『夜のさいころ』などについて」(『狩と獲物』)(要書房、1951年)〕。ヒロインである「純潔少女」は、川端の全作品をつらぬく主題の象徴ともなっている〔。川端自身は第4章(母の死の章)に愛着を持ち、「そこのところの少女は可愛く、少しをこぼしながら書いた」としている〔川端康成「あとがき」(『正月三ヶ日』)(新声閣、1940年)〕。
1940年(昭和15年)、雑誌『婦人公論』1月号に掲載された〔「解題」(『川端康成全集第7巻・小説7』)(新潮社、1981年)〕。翻案作品も多く、1954年(昭和29年)9月17日に久松静児監督により映画化され、テレビドラマ化も7度行われた。
== 発表経過 ==
川端康成は1937年(昭和12年)から1938年(昭和13年)にかけて、雑誌『婦人公論』に長編『牧歌』を執筆し始めたが、この作品は「序の口までしか書けなかつた」と川端自身がいうように長編小説とはならなかったが、それから1年半ほど経た1940年(昭和15年)に川端は再び、雑誌『婦人公論』に連載の筆を取った。しかしそれは『牧歌』の続編ではなく、それぞれ独立した短編であった。中途で休載の月もあったが、こうして9編の短編が出来上がった。
そのうちの最初の短編が『母の初恋』で、1940年(昭和15年)、雑誌『婦人公論』1月号に掲載された。単行本は同年12月に新声閣より刊行の『正月三ヶ日』に収録され、翌年1941年(昭和16年)12月8日に新潮社より刊行の『愛する人達』にも収録された〔。文庫版は新潮文庫『愛する人達』に収録されている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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