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わいらは、佐脇嵩之の『百怪図巻』などの妖怪絵巻や、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』(1776年)にある日本の妖怪。 == 概要 == 『百怪図巻』(1737年,佐脇嵩之)、『化物づくし』(画家・制作年不明、加賀谷れい所蔵)、『化物絵巻』(画家・制作年不明、川崎市市民ミュージアム所蔵)、『百鬼夜行絵巻』(1832年,尾田淑太郎)などの絵巻では、巨大な牛のような体に、前足には太く鋭いカギ爪を1本ずつ生えた姿で描かれている。いずれの絵巻にも名称以外の解説文が一切なく、民間伝承を記載した書物も存在しないため、どのような妖怪を意図して描かれたかは不明である〔。いずれの絵も描かれているのは上半身のみであり、下半身を描いた絵は確認されておらず、全身像は明らかになっていない。 江戸時代の随筆『嬉遊笑覧』に引かれている古法眼元信が描いた「化物絵」に描かれていたとされる妖怪の中には「わいら」の名称が確認できる〔。 昭和・平成以降の妖怪関連の文献や児童向けの妖怪図鑑では、正体不明の妖怪〔〔粕三平『お化け図絵』1973年 芳賀書店 176頁〕、山奥に住んでおり前足のカギ爪で土を掘り返してモグラなどの小動物を食べる大きな妖怪〔藤沢衛彦 編『妖怪画談全集 日本篇』上 中央美術社 1929年 32頁 「好んでモグラを掘り食ふ」と記されている。〕、山奥に住んでおり人間を襲って食べる大きな妖怪〔聖咲奇『世界の妖怪全百科』小学館(コロタン文庫)1981年 123頁 ISBN 4-09-281062-8〕など、大きく分けて以上の3つのいずれかの解説がされている。 美術史学者・辻惟雄は『化物づくし』(画家・制作年不明、加賀谷れい所蔵)を取り上げた文章で同絵巻の「わいら」の絵(絵巻での表記は「はいら」。画像参照)を「ガマの変形らしい緑色の怪物」と描写しており〔「無気味なものの形象化・化物づくし」 『美術手帖』240号 美術出版社 1964年8月 25-31頁 「ガマの変形らしい緑色の怪物」という箇所のみが『鳥山石燕 画図百鬼夜行』(国書刊行会,1992年)の「わいら」解説文(80頁)に引用されている。〕、平成以降の妖怪関連の文献の一部では、ガマが年を経て霊力を得て妖怪化したもの、体色は緑色などの解説も見られる。 妖怪研究家・多田克己は、「畏(わい)」とは「恐れる」「怖れる」を意味し、畏畾(わいらい)とは「かしこまる」「その場に畏(おそ)る」を意味することから、これらの言葉がわいらの這いつくばった姿に繋がると指摘している〔。また、『百怪図巻』『画図百鬼夜行』のいずれも「わいら」と「おとろし」と並べて描いていることから、「恐い(わいら)」「恐ろしい(おとろし)」を具現化した2体で一対の妖怪だとする解釈もある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「わいら」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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