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ワニ料理[わにりょうり]
ワニ料理(鰐料理、わにりょうり)とは、広島県のうち三次市や庄原市などの備北地域で食べられる郷土料理である。 == 特徴 == 本稿で述べる「わに」とは、爬虫類のワニではなく、軟骨魚類のサメ(フカ)のことを指す。サメを表す古語で和爾と表記され、『因幡の白兎』伝説で和爾が登場する出雲地方を中心に、現代でもこの呼称が使われている〔山崎(1996: 77)〕。サメ肉を食べる習慣は世界中で見られるが、一定地域の住民全体が刺身として食べるのは備北地域特有の風習であり、日本国内でも他には宮崎県の一部でしか見られない〔。 サメ肉はトリメチルアミン-N-オキシドおよび尿素の含有量が著しく高いため、食中毒の原因となるヒスタミンの生成が抑制されるうえ、酸化による脂質の変敗も起こりにくい〔小園 他(2006: 176)〕。このため保存性が高く、2週間ほど経過したものでも刺身として食べられており、冷蔵技術が未発達だった頃から山間部で生食できる魚として重宝されていた〔山崎(1996: 79)〕。ただし、河川もあることから、当該地域でも鮎などの淡水魚を食べることはあった。 一方、トリメチルアミン-N-オキシドと尿素からそれぞれ生成されるトリメチルアミンとアンモニアに加え、日が経つと肉のpHが上昇して匂いが揮発しやすくなるため、鮮度の低下したサメ肉は強烈な匂いを有する〔。なお、現代では輸送や保管が低温で行われる事などもあり、アンモニア臭などがない状態で食されている〔。ただし、「ワニは隣の家まで匂うくらいのものが旨い」、「古くなったワニを味噌漬けにして焼いた時の強烈な匂いが良かった」など、臭気を肯定的にとらえる意見もある〔。 現代では、ネズミザメやアオザメ、シュモクザメ、メジロザメ、オナガザメなど20種類ほどが食べられ、ネズミザメが最も高価となる〔升原(2005: 106)〕〔。種類によって肉の色は薄いピンクから紅色までさまざまである〔。鹿児島県、高知県、静岡県、宮城県、島根県でマグロやカジキとともに水揚げされたものが冷蔵輸送され、年間消費量は150トン余りに達し、その半分が正月と祭りの時期に消費される〔升原(2005: 104)〕〔。味については、マグロのトロや甘エビのように甘い、と評される〔。脂肪が少なくて柔らかく、トリメチルアミン-N-オキシド由来の甘味などが影響しているためと考えられている〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ワニ料理」の詳細全文を読む
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