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『われら生きるもの』(われらいきるもの、原題: ''We the Living'')は、アイン・ランドの小説家としてのデビュー作である。革命後のロシアの生活を描いた物語であると同時に、ランドがはじめて共産主義への反対を表明した書物だった。本書の序文でランドは、この作品が彼女の自伝に最も近い小説であると認めている。ランドはこの小説を1934年に書き終えたが、複数の出版社に出版を拒否され、最終的にマクミラン出版社から出版されたのは1936年だった〔Ralston, Richard E. "Publishing ''We the Living''". In 〕。累計販売部数は300万部を超える〔Ralston, Richard E. "Publishing ''We the Living''". In 〕。 ==あらすじ== ===第一部=== ロシア革命後の内戦がほぼ終結した1922年の春〔本文に季節は明示されていないが、ペトログラードの駅からドナエフ家に向かう途中のリディアの「いつもよりひどい泥ね」という発言(脇坂訳初版29頁)から、雪解け後の季節であることが推定される。年は1922年で(脇坂訳初版13頁)、1904年4月11日生まれ(脇坂訳初版49頁)のキラが18歳(脇坂訳初版18頁)になっていることから、日付は4月11日以降であることが推定される。〕、18歳の主人公キラは、父、母、姉と共に、4年にわたり避難していたクリミアからペトログラードに帰ってくる。革命前に一家が所有していた繊維工場も、邸宅も、財産も、4年前にすべてソビエト政府に接収されていた。電気も風呂もなく水道も出ない古アパートの4階に、一家はなんとか住みかを確保する。 技術士を目指すキラは、家族の反対を押し切り工科大学に入学する。父が開業した織物屋の売上は伸びず、個人商店主には家賃や負担金や労働奉仕がソビエト従業員以上に押し付けられる。 10月のある晩、キラは街で偶然見かけた長身の美男子レオに一目惚れする。レオはキラを娼婦だと思い声を掛ける。レオは反ソビエト政権の陰謀容疑で銃殺刑に処された元海軍提督の息子で、自身も陰謀への関与を疑われ、GPU(秘密警察)に追われていた。レオは世界のあり方に絶望し、世界のあり方に苦しまずに済むレベルまで自分を堕落させるために、初めて娼婦を買うことを決め、キラに声を掛けたのだった。堕落するために声を掛けたキラが、堕落を踏みとどまらせようとする皮肉に、レオは戸惑う。二人は秘密の逢瀬を重ね、互いへの思いを募らせる。 共産党細胞の女子学生に誘われ学生委員会選挙の集会に参加したキラは、ソビエト政権を揶揄するつぶやきを、GPUの諜報部員で理想主義的な共産主義者の学生アンドレイに聞き咎められる。やがてキラとアンドレイは、政治的立場の対立を超え、人生に対する互いの姿勢を尊敬し合うようになる。 12月、レオとキラは密航船での国外逃亡を決行する。密航船の狭い船室で、キラはレオと初めての肉体関係を結ぶ。2人が乗った密航船は、GPUの沿岸警備隊に拿捕される。沿岸警備隊長はバルチック艦隊の元乗組員で、バルチック艦隊司令官だったレオの父を軍人として尊敬しており、レオもレオの父も陰謀容疑は無実だったと知っていた。沿岸警備隊長の計らいでキラは帰され、レオも3日後に釈放される。 キラの家族は、自分達が聞いたこともない男と肉体関係を持ったキラに、絶縁を言い渡す。キラはレオと同棲し始める。キラはレオとの同棲生活を、人間を希望のない存在におとしめる国家や時代や、そうした国家や時代を成り立たせる数百万の人々との戦いだと考える。レオは出版局に復職し、大学での歴史と哲学の勉強も再開する。キラは技術士を目指し工科大学での勉強を続け、家ではレオのために食事を作り、寝室で互いの肉体を求め合う。 キラはレオと同棲するようになってからも、自分の考えや感情を話せる唯一の相手になったアンドレイとの友人関係を続ける。レオはキラとアンドレイの友人関係を嘲笑しつつ容認する。アンドレイはキラとレオの関係を知らないまま、徐々にキラに恋愛感情を抱くようになる。 2人が同棲して2年が過ぎた頃、レオは上司から要請された奉仕活動への協力を拒否し、国家出版局をクビになる。2人は経済的に困窮し食事にもこと欠くようになり、生活の糧を得る労働で、大学の授業への出席も困難になる。レオは肉体労働で疲弊し、時々咳をするようになる。キラはアンドレイの世話で小さな政府機関の事務職に就くが、仕事を失わないためには、「反社会的分子」と見なされないように職場に完全に溶け込まなければならないだけでなく、共産党がお膳立てする街頭デモやマルクス・レーニン主義の学習サークルに参加し、「プロレタリア意識」の高さを示し続けなければならない。最低限の生活の維持に時間も思考もエネルギーも奪われ、キラはレオに体を求められるのも拷問に感じられるようになる。レオはキラに養われる形になり、キラに卑屈な態度を取る。 キラが工科大学に入学して2年目、すべての高等教育機関で「プロレタリア階級の敵」の粛清が始まる。キラもレオも大学を追放される。技術士になって「ガラスの摩天楼」や「アルミニウムの橋」を建設するというキラの夢は絶たれ、レオの存在だけがキラの希望になる。キラはレオに自暴自棄にならないように頼むが、レオは絶望を深める。 その年の夏、レオが結核にかかっており、この冬は南で療養しなければ確実に命を失うことが判明する。キラはレオを生き延びさせることを決意するが、数百人が空きを待つ国立サナトリウムに、党員でも労働組合員でもない元貴族のレオを受け入れさせる道は開けない。民営サナトリウムの高額な利用費を工面するすべも見つからない。キラ自身も政府機関での職を失う。キラは最後の頼みとして、アンドレイの自宅を訪れる。アンドレイは2か月前にキラと日曜日の一日を田舎で楽しく過ごしたのを最後に、なぜかキラと一切会おうとしなくなっていた。アンドレイがキラに会おうとしなくなったのは、キラを愛するようになってしまったからだった。キラを自分のものにできるなら全財産を投げ出してもいい、と言うアンドレイの言葉を聞き、キラはレオの療養費を得るため、レオとの関係を隠したまま、アンドレイの愛人になることを決意する。GPU諜報部員として高給を得ていたアンドレイは、愛人になったキラに収入のほとんどを差し出すようになる。 10月、キラはレオをクリミアの民営サナトリウムに送り出す。アンドレイとの愛人関係はレオに隠し、療養費は外国の親類から借りたと嘘を付く。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「われら生きるもの」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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