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アウトレンジ戦法(アウトレンジせんぽう)とは、敵の火砲や航空機の航続距離など相手の射程外から一方的に攻撃を仕掛ける戦術および戦闘教義のこと。 ==砲撃戦== アウトレンジの原理は単純で、敵艦の砲の射程外に自艦を置いて砲撃すれば、命中率は多少悪くとも一方的に損害を与えることができる。第一次大戦のフォークランド沖海戦ではイギリスの巡洋戦艦隊がドイツの装甲巡洋艦をアウトレンジしてほぼ無傷の決定的勝利を収めた。通常、このような状況では劣勢の側が戦いを避けるのだが、当時新式の巡洋戦艦は射程と速力の両方において旧式の装甲巡洋艦より優っており、ドイツ側は逃げることができなかった。 日米開戦以前、日本海軍はワシントン海軍軍縮条約(1922年)やロンドン海軍軍縮条約(1930年)により戦艦・航空母艦・巡洋艦の保有数が制限された。このため数で勝るアメリカ海軍を艦隊決戦で打ち砕くため模索したのがアウトレンジ戦法だった。そのため、決戦主義において主砲の有効射程で勝る大和型戦艦を建造した〔松田 (2009) p.23〕。 戦艦大和が建造された当時、英米の戦艦は40センチ砲を装備し砲撃距離は3万メートルであったが、大和は45センチ砲を装備し砲撃距離は4万メートルであり速力も他の戦艦より速かったため、逃げながら砲撃するアウトレンジ戦法を取れば、海戦の際絶対優位に立てると考えられていた〔羽仁謙三『海軍戦記―われ,単艦シンガポール港占領せり』文芸社205頁〕。 但し、近年の研究では、大和型戦艦の主砲は単純に高威力化を狙ったもので、射程の増大は単なる副次的効果に過ぎなかったという意見もある。また、戦艦艦橋の測距儀から観測できる距離は、当時の戦艦主砲の射程よりも短いものであり、この点でも砲撃によるアウトレンジ戦法を疑問視する声もある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アウトレンジ戦法」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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