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アクチン(Actin)は螺旋状の多量体を形成してマイクロフィラメントの1種であるアクチンフィラメントを形作る球形のタンパク質である。 この繊維は真核生物の細胞内部で3次元の繊維状構造を作る3つの細胞骨格(アクチンフィラメント、微小管、中間径フィラメント)の中では最も細いものである。アクチンフィラメントは細胞の形を決定している。細胞質流動と、細胞分裂での収縮に関与している。筋細胞ではミオシンと共に筋収縮を担う。また、仮足を介して移動を可能にする。細胞質基質内では、アクチンは種の間での差異が少なく非常に保存されたタンパク質の1つで、藻類とヒトの間で5%しか違わない。恒温脊椎動物では、アクチンには6種類のアイソフォームが存在する。〔 〕〔 〕 == アクチンフィラメント == 分子量が約42,000の球形(globular)アクチンはG-アクチンと呼ばれ、G-アクチンが多数重合した糸状(filamentous)の重合体はF-アクチンと呼ばれ「マイクロフィラメント」になる。マイクロフィラメントは3種の細胞骨格の中でも最も細く、直径6-7nmである。F-アクチンはG-アクチンが右巻き2重螺旋構造でつながり、13個ほどが含まれる36nm程で半周期となる。G-アクチンの重合による成長と脱重合による消失はそれぞれ特定の片側端部で通常行なわれるため、微小管と同様にアクチンフィラメントには方向性があり、成長側を「+端」(プラス端)、消失側を「-端」(マイナス端)と呼ぶ。また、電子顕微鏡写真ではミオシンの結合がやじりのように見えるため、やじりの先端となる-端を「やじり端」「P端」(pointed end)、その反対側の+端を「反やじり端」「B端」(barbed end)と呼ぶこともある。G-アクチンの細胞内濃度が重合反応と脱重合反応を律速しており、2つの反応が等しくなるG-アクチンの濃度を臨界濃度と呼ぶ。臨界濃度は+端で0.1μM、-端では0.6μMであり、この間の濃度では、+端の方が臨界濃度が低いため重合が進み、-端では脱重合進む。このため定常状態では+端で伸張し-端で短縮している。これはトレッドミリングと呼ばれる。〔田村隆明・山本雅著 『分子生物学イラストレイテッド』 羊土社 2009年3月10日第3版発行 ISBN 978-4-7581-2002-9〕。 アクチンは主にATPと結合するがADPとも結合しうる。ATPとアクチンの複合体はADPとアクチンの複合体よりも速く重合し、遅く脱重合する。 このアクチンの重合である核形成の過程は3つのGアクチン単量体が三量体へ合体する事に始まる。この時、ATPの付いたアクチンは+端へ結合し、ATPはその後加水分解され、それによって隣りのユニットとの結合長が短縮して一般に繊維は不安定になる。ADPの付いたアクチンは-端から脱重合し、ADP結合アクチンの増加が結合したADPのATPへの交換を刺激してATP結合アクチンを増やす。この速い代謝回転が細胞の動作に重要である。 コフィリンというタンパク質はADP結合アクチンユニットに結合して、-端からの脱重合を促進し、再構築を妨害する。プロフィリンというタンパク質は、結合するADPとATPの交換を刺激することでこの効果を逆転させる。加えて、プロフィリンと結合したATP結合アクチンユニットはコフィリンと分離して自由に重合できる。他にフィラメントの生成に重要な成分にArp2/3タンパク質があり、これは核形成の場として役に立ち、Gアクチン三量体の形成を刺激する。これら3つのタンパク質は全て細胞シグナルの機構で調節される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アクチン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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