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アザゼル(Azazel)は、『旧約聖書』レビ記にみられる言葉であり、黙示文学やラビ文学に記されるユダヤ神話における天使(堕天使)ないし荒野の悪魔の名である。堕天使のアザゼルと悪魔のアザゼルを別のものとする説もあるが、ここでは同一のものとして説明する。 ==堕天使としてのアザゼル== アザゼルまたはアザエル(Azael, Azzael)は『第一エノク書』などの黙示文学やラビ文学において堕天使として登場する。この天使はアシエル(Asiel, Assiel)、アゼル(Azel)とも表記される〔グスタフ・デイヴィッドスン著 『天使辞典』 吉永進一監訳、創元社、2004年、ISBN 4-422-20229-4〕。 アザゼルという名は「神の如き強者」という意味のヘブライ語に由来し、「神が力を与える者」の意であるとも言われる。『アブラハムの黙示録』では7つの蛇頭、14の顔に6対の翼を持つとされる〔。 前身は砂漠の神で、カナン人(古代パレスチナの住民)の神アシズ(Asiz)がルーツであると言われる。この神は太陽を激しく燃やすことを使命としたとされる。 アザゼルが堕天使となった経緯についてはいくつか説があるが、その1つに、神の創り出した人間アダムに仕えるように命じられるも、「天使が人間などに屈すべきにあらず」と頭を下げなかったという伝説がある。このアザゼルの行いは神を否定するに等しい行為で、結果、天界を追放されたとされる。 『エノク書』に記される伝説では、堕天使としてのアザゼルはもともとは神に命ぜられて地上の人間を監視する「見張りの者たち」(エグレーゴロイ)のひとりであった。アザゼルら見張りの天使の首長たちは、人間を監視する役割であるはずが、人間の娘の美しさに魅惑され、妻に娶るという禁を犯す〔この時、同じ監視者の指揮官シェムハザの反対意見を聞かずにアザゼルが禁を犯したと解説するがあるが、『エチオピア語エノク書』の原典邦訳である『聖書外典偽典4』(教文社)の該当部分(第6章175頁)では、シェムハザが禁を犯すことに積極的である描写はあるが、シェムハザが反対したことを示す記述は見当たらない。『スラブ語エノク書』の邦訳の『聖書外典偽典3』にもそのことを示す記述はない。〕 。かれらとともに200人ほどの見張りの天使たちが地上に降り、人間の女性と夫婦となった。『第二エノク書』では、この堕天使の一団はスラブ語でグリゴリ(Grigori=見張り)と呼ばれ、ウォッチャーズ (Watchers) と英訳される。こうした物語は、“「神の子ら」(ベネ・ハ=エロヒム)が人間の娘と交わった”とする創世記の記述を、後世の黙示文学の作者たちが発展させたものと考えられている〔J・B・ラッセル 『悪魔の系譜』 大瀧啓裕訳、青土社、2002年、57-59頁。〕。 この伝説においては結局のところ、アザゼルらグリゴリの行動は人間の文化向上に貢献したが、神の機嫌を損ね、神は地上に大洪水を引き起こし、大虐殺を行った。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アザゼル」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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